「小1プロブレム」という言葉をご存じですか?
- 担任の先生から、授業態度がよくないと指摘された。
- 集団行動を嫌がり、自分勝手な振る舞いをしているようだ…。
- 学校でいつもふざけている!
お子様のこのような行動は、もしかすると「小1プロブレム」の兆候かもしれません!
今回は、「うちの子、小1プロブレムかも…。」と、心配しているママパパにむけて、「小1プロブレム」に関するあらゆる情報をまとめました。
原因は何なの!?どうすれば解決できるの!?親がとるべき行動は!?少しでも気になる場合は、是非続きをお読み下さい。
目次
1、小1プロブレムとは?
(1)「小1プロブレム」ってどんなもの?
小1プロブレムは、【小学校に入学したての1年生が、学校生活に適応できず様々な問題を起こすこと】を指す造語です。神戸親和女子大学教授の新保真紀子氏が、1998年頃に提起し、その後急速に教育現場で実感されるようになりました。
- 授業中に座ることができずフラフラ歩き回る
- 先生の話を静かに聞けない
- いつもふざけている
- 集団行動ができない
など、小学校1年生が「問題児」のような行動をしてしまう現象を、「小1プロブレム」と呼ぶのです。
(2)「小1プロブレム」が子どもに与える影響
「小1プロブレム」が子どもに与える影響は、悪いものばかりです。
学校でいわゆる「問題児」のような行動をとっていると、周囲になじめず孤立する、まわりから嫌われるなど、心配な状況が引き起こります。そればかりか、【授業をまともに受けられない→叱られる→勉強が楽しくない&分からなくなる→学校が楽しくなくなる】という悪循環も生まれてしまうのです。
小1の早い段階で「学業のつまずき」や「周囲からの孤立」が進むと、その後リカバーするのが大変難しいです。
例えば、
- 授業をまともに受けられないがために、計算が十分にできない
- 平仮名やカタカナをきちんと覚えられない
など、全ての土台になる部分でつまずくと、その後の学習が理解できなくなり、やがて学校生活自体が嫌になってしまうのです。
では、どうすれば「小1プロブレム」を起こさず、小学校生活をスムーズにスタートすることができるのでしょうか?原因と対策を、順を追ってみていきましょう!
2、小1プロブレムの原因
(1)幼稚園・保育園と小学校の間にある「段差」
「小1プロブレム」の大きな原因の一つとされているが、幼稚園・保育園と小学校の間にある「段差」です!
遊びが中心の「幼児教育」から、学業中心の「義務教育」に移行する段差を乗り越えることができず、幼さゆえに「問題行動」となって顕在化してしまうのです。
ここで、幼稚園(保育園)と小学校生活の違いを具体的に見ていきましょう。
小学校生活は、比較的自由に過ごせていた園生活から一変!朝は早起きして歩いて登校し、決められた時間に授業を受けます。そして、時には苦手な食べ物もある給食時間を乗り越え、掃除時間にはきちんと清掃することが求められます。そして、帰宅後にはもちろん宿題も待っています。
このような「生活の大変化」に子どもがついていけず、入学後にいわば「パニック」をおこしている状態が「小1プロブレム」の実態なのです。
このことは、「小1プロブレム」の発生時期にも如実に表れています。小1プロブレムが最も多く起きるのは4月!つまり、小学校生活に慣れていない時期に、小1プロブレムは引き起こっているのです。(東京都教育委員会:平成22年度小1問題・中1ギャップの実施調査)
(2)「自分を律する力」の不足
「自分を律する=自分をコントロールする力の不足」も、小1プロブレムの一つの原因です。
- 自分がやりたいように行動してしまい集団生活ができない
- 興味がないことには見向きもしないため授業中に立ち回る
- 自分の思い通りにいかないと暴れる
という小1プロブレムの典型的な行動は、「自分を律する力の不足」から引き起こります。
幼稚園・保育園時代に「我慢する経験」が少ない場合、小学校に入学したからといって、急にできるはずがありませんよね。
では、どうすればいいのか?それには、次でご紹介する「家庭でのしつけ」が大切です!
(3)「家庭でのしつけ」が行き届いていない
家庭でのしつけが行き届いてないばかりに、入学後のスタートがスムーズにいかないことが多々あります。
先生が教壇に立って児童が授業を聞く「小学校の授業スタイル」は、基本的に明治以降変わっていません。その一方で、入学する児童には大変化が起きています。
- 親が深夜まで子どもを連れまわす
- 朝食を食べさせない
- 家庭の協力が必要な場面でサポートしない
など、規則正しい小学校生活を送る基盤が、崩壊している家庭が増え始めているのです。
小1プロブレムの解決は学校任せにせず、まずは家庭から!次では、私達親が家でできる取り組みを詳しくお伝えしていきます。
3、小1プロブレムを防ぐために親ができる5つのこと
(1)家庭で机につく時間を確保する
入園する前には「慣らし保育」、就職する前には「インターンシップ」があるように、新たなステージに進む時には、その「慣らし」を行うことが大切です。
しかし、小学校に入学する前にはそれがありません!「小学校のプレ入学」は、現時点では行われていないのです。
そこでおすすめしたいのが、家庭で小学校生活を体験してみることです!
幼稚園(保育園)と小学校生活の最大の違いは、ズバリ授業!入学前まで一度も机に座った経験がない子が、急に1時間弱の授業に耐えられるはずがありません。幼児のうちに【年齢+1分の集中力】を目指し、数分から家庭学習を始めてみましょう!
以下は、クリエイティブキッズがおすすめする家庭学習ツールです。お子様に合いそうなものを、是非試してみましょう。
(2)マナーや常識を教える
- 人が話している時には目をみて聞く
- 友達に意地悪をしない
- 公共の場では静かに過ごす
- 人の迷惑になる行動はしない
- 食事は座って食べる
- 発言するときには手を挙げる
など、最低限の一般常識やマナーは、入学前に家庭で教えましょう!
子どもが間違った行動をした時はその都度注意して修正する他、ママパパ自身がマナーと節度をもった行動を心掛けることも大切です。
(3)子どもの教育に関心をもつ
共働きが一般的になった今、ママ達の「やることリスト」は膨れ上がっています!忙しく仕事をしていると、つい子どもの教育は後回し…。何とか夕食を食べさせて寝かせるだけという日々が続きますよね。
しかし、それでは子どもの「教育」に目が向かず、「世話をしているだけ」の状態になってしまいます。
- 子どもに今どんな学びが必要なのか?
- どんな手段で学ばせるのが効果的なのか?
- どうすれば学習を楽しめるのか?
- 将来どんな人間に成長してほしいのか?
など、1日に10分だけでも、子どもの教育について真剣に考える時間を持ちましょう!
「将来は子どもに任せて、好きな道に進ませるのが1番!」というと聞こえは良いかもしれませんが、「好きな道」の選択肢を増やし、視野を広げるのはママパパの役目です!例えば計算を嫌がる時、「うちの子は嫌がって勉強しない!」と諦めるのではなく、「どうすれば楽しく計算が学べるか?」を、親はあらゆる知恵を絞って考えるべきなのです。
子は親の鏡。1日1日のママパパの行動が、学校でのお子様の行動に現れます。是非今日から、子どもの教育について考える時間を持ちましょう!
(4)幼稚園・保育園選びを慎重に!
幼稚園・保育園と小学校の壁を少しでも小さくするためには、授業形式や集団行動を重んじる幼稚園・保育園を選ぶのも一つの方法です。
幼児期の子どもは、良くも悪くも環境にものすごく影響されます。近くて便利!というだけで幼稚園や保育園を選ぶのではなく、小学校との橋渡しをしてくれる園を選ぶことも、「小1プロブレム」を防ぐ有効な手立てになるでしょう。
実際、しつけに対する価値観の違いから幼稚園を転入したところ、転入後1年で別人のようにきちんと座り人の話を聞く習慣がついた子もいますよ!
(5)子どもの話を聞こう!
入学後の子ども達は、多かれ少なかれ誰もが緊張しています。
初めての授業、初めての給食、初めての掃除など、「初めてだらけ」の子ども達の心をケアできるのは、まぎれもなく私達親です。
入学直後は時間をかけてゆっくり子どもと話し、学校でどのように過ごしているのか聞いてみましょう!子どもの話を聞くことで、思わぬトラブルがみつかることもありますし、反対に問題解決の糸口が分かることもありますよ。
4、【幼・保・小連携!】小1プロブレムを乗り越える取り組み
さて、小学校は「小1プロブレム」の解決を、決して家庭任せにしているわけではありません!
2010年頃からは、【幼稚園・保育園・小学校】の三者が連携し、スムーズに小学校生活をスタートできるプログラムが導入され始めているのです。
幼児教育から義務教育の段階への橋渡しとして、
- 子ども同士の交流活動
- 相互理解を深めるための教職員の交流
- 幼児教育と小学校の教育レベルの段差を小さくする取り組み
など、幼・保・小が連携して【学びをつなぐ工夫】が、各自治体で行われているのです。
小1プロブレムの解決には、【幼・保・小】の連携、そして【学校と家庭】の連携の2つを同時に行うことが大切です!
「うちの子、もしかして小1プロブレムかも?」と思った際には、担任の先生と協力しながら、より良い方向へお子様を導いてあげましょう!
まとめ
「小1プロブレム」と聞くと特別な問題のように思えますが、決してそうではありません。
新たなステップアップの段差が高いと、大人でも最初は戸惑うもの。ましてや6歳の1年生!幼児教育から義務教育への移行が、スムーズにできなくても仕方ありません。
大切なのは、ママパパがきちんと問題意識をもって対処することです。担任の先生とも連携し、小1プロブレムを乗り切りましょう!
3歳と6歳の子を持つママライター。子ども達を「食うに困らない人間」に育てるべく、0歳から様々な幼児教育を実践!その効果が出ているかはさて置き…育児と仕事に全力投球中の30代です。夫と家事全般の優先順位が下がる一方なのが悩みの種。