生活・ケア・しつけ

「子供のとびひ」症状と正しい対処法110番

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あせもや虫刺されなど、夏場は子どもの皮膚トラブルが増える季節。

「たかがあせもや虫刺され、大したことないわ 」

放っておくと、湿疹が体中に広がってしまうことがあります。

  • これはいわゆる「とびひ」なの?
  • それとも湿疹?
  • 痕は残らない?
  • どう対処したらいいの?

など、周りで流行り出したり、突然身体中に広がると、不安になりますよね。

そこでこの記事では、

  • 子どものその症状がとびひかどうか?
  • とびひだった場合の正しい対処法
  • とびひの予防法

といったとびひに対する家庭でできる対処の仕方を、詳しくお伝えしていきます!

子どもが痒がる姿を見るのは、とても辛いものです。

周りの子が感染し始めたら正しく予防し、もしうつっても慌てず対処できるよう、ママパパ は正しい知識を持ち、対処できるようにしておき ましょう!

※この記事では、症例画像などを引用しております。苦手な方はご注意ください。

1、子どものとびひ初期症状から完治までの症状と症例画像

はじめは虫刺されやあせもなどの、ささいな傷から始ま るとびひ

初期症状や途中どのような経過を辿るのかを、 詳しくご存知ない親 も多いと思います。

とびひの初期症状から完治までの症状の一例 を、写真と共に詳しく見ていき、慌てず対処できるようになりましょう。

(1)初期症状

 

(写真1|参考:http://blog.livedoor.jp

ボールペンで着けたような小さな赤いポツポツが、とびひのごく初期の症状です。

この時点では、「虫に刺されたのかな?」と思う程度で、とびひだと気付かない親も 少なくありません。

その後、その小さな赤いポツポツは数時間ほどで水ぶくれに変化します。 

(2)初期症状から1日後

(写真1|参考:http://blog.livedoor.jp

初期状態の 大きくなった水ぶくれがつぶれ、赤く腫れてやけどのような見た目に変わります。

つぶれた水ぶくれはクレーターのようにへこみ、その周りに新たな水ぶくれができ、どんどん拡大して1円玉ほどの大きさに!

こうなると多くの親が「普通の虫刺されとは違う!」と気付き、病院 に向かいます。

(3)初期症状からおよそ1週間後

(写真3|参考:http://tobihi.ti-da.net

病院を受診後、医師の指示に従い消毒などの正しいケアを続けて1週間。

写真を見ると、 1円玉ほどの大きさだったとびひは、500円玉近くまで大きくなっていますが、素人目で見ても 水ぶくれや腫れは治まってきているように見えます。(写真3)

 治療をしている間にも新たな場所にとびひは広がっていきます (写真4)。

 医師の指示に従い、根気強く治療を続けましょう。

(写真4|参考:http://tobihi.ti-da.net

(4)初期症状からおよそ 2週間後

治療を開始し2週間。新たな水ぶくれや腫れもできなくなり、とびひの拡大が止まります。

この頃になると、患部にかさぶたができ、目に見えて回復しているのが分かります。(写真5、写真6)

(写真5|参考:http://tobihi.ti-da.net

(写真6|参考:http://tobihi.ti-da.net

(5)初期症状からおよそ3週間後

まだとびひの痕はありますが、ほとんど治っています。(写真7)

この頃になると、ジュクジュクしたとびひは無くなり痛みも減るため、消毒時の苦痛も和らぎます。

(写真7|参考:http://tobihi.ti-da.net

(6)初期症状からおよそ1カ月後

1ヶ月経ち、酷かったとびひもやっと完治!

まだ痕は残っていますが、皮膚はきれいな状態に戻っています。(写真8)

とびひの程度にもよりますが、水ぶくれができてそれが破れ、また新たなとびひができることを繰り返しながら、約 1ヶ月かけて徐々に完治に向かいます

ママパパ は、根気強く家庭での消毒や内服の手助けを しましょう。

(写真8|参考:http://tobihi.ti-da.net

2、子供のとびひについて詳しく知る

とびひの名前は聞いたことがあっても、具体的な症状や正しい対処法をご存知 の方はあまり多くいません。

とびひについて正しい知識を持ち、ご家庭でできることを覚えて いざという時に備えましょう!

(1)とびひの種類

とびひの正式名称は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といい、「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」の、2つの種類があります。

①水疱性膿痂疹

とびひと呼ばれるもののほとんどが、この水疱性膿痂疹です

水疱性膿痂疹の原因は、どこにでもいるありふれた菌の「黄色ブドウ球菌」です!この黄色ブドウ球菌が表皮の浅い層に侵入し、そこでどんどん増殖することで発症します。

とびひはその名の通り、水ぶくれから破れて出てきた内容物(繁殖した菌) が、他の部分に飛び火することで、どんどん広がっていくのが特徴です

乳幼児や小学校低学年の子どもが、初夏から夏にかけて発症することが多く、幼稚園や保育園で流行することもよくあります。

②痂皮性膿痂疹

痂皮性膿痂疹の原因は、「溶血性連鎖球菌」(以下溶連菌)です。

実際には、溶連菌単体によるとびひは少なく、溶連菌と黄色ブドウ球菌との混合感染が多い傾向にあるようです。

痂皮性膿痂疹は水ぶくれを作ることなく、赤い発疹で中に膿があるもの(膿疱)が一気に多発し、厚いかさぶた(痂皮)を作るのが特徴で、発熱、リンパや喉の腫れなどの全身症状を伴います。

さらに、6歳以下の小さな子どもが発症した場合、腎炎を合併する可能性もあるため、注意が必要です

乳幼児など小さな子どもに限らず発症し、夏だけでなく一年中発生します。

(2) 子供のとびひが広がるプロセス

とびひは、以下のようなプロセスで全身に広がります。

  1. 虫刺され・あせも・湿疹・擦り傷など、些細な傷ができる。 
  2. 痒さを我慢できず掻きむしると、さらに患部が傷つき、そこから皮膚の浅い層に細菌が侵入する。 
  3. 細菌は「表皮剥脱毒素」と呼ばれる、皮膚を剥がす毒素を排出しながら増殖していく。 
  4. これに伴い、皮膚には水ぶくれができる。 
  5. 水ぶくれが破れて中の内容物が出てくる。このジュクジュクした汁には細菌が多く含まれており、接触した部分に飛び火する。 
  6. これを繰り返し、とびひはどんどん感染を広げていく。 

「些細な傷に細菌が侵入➡水ぶくれができる➡痒いので掻く➡とびひの拡大」という一連の流れを繰り返し、とびひは広がってい きます。

 繰り返しになりますが、このように 触れた部分にどんどん「飛び火」していく様が、「とびひ」の名前の由来になってい ます。

特に小さな子どもは、痒みを我慢することが難しいため、一度酷くなってしまったとびひはさらに感染が広がります

3、とびひの治療

どんどん拡大していくとびひをストップ!

正しいとびひの治療法や対処法をご紹介します。

(1)すぐに皮膚科を受診

とびひに限らず、初期で見つけることができれば、症状が重くなる前に完治できる可能性が高まります。 

最初は些細な傷やあせも、虫刺されだった箇所に、赤いポツポツや水ぶくれなどの異変が見られた場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう

とびひのごく初期の頃は「あれ?このポツポツは何だろう?」という程度の症状のことが多く、素人では判断が付きません。

しかしこの時点で病院を受診し、早期に正しい治療を始めれば、とびひの感染拡大を最小限に抑えることができます!

皮膚科では、細菌培養検査で細菌の種類を特定し、適切な抗生物質を処方してくれる他、塗り薬や消毒など、家庭での正しいケア方法も指導してくれます。

子どもの身体に気になる発疹などが見られる場合は、迷わず皮膚科を受診することをおすすめします。

※子どもの発疹については「幼児・湿疹」でも詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

(2)受診まで にしたい、正しい対処法(本人編)

「もしかしたら、とびひかもしれない!」とママが気付いても、すぐに病院へ行けない場合もあるでしょう。

そんな時、病院へ行くまでにどのような対処法をすればいいのでしょうか?

① すぐできる対処法! 爪を短く切ろう

とびひは痒みを伴うため、幼い子どもは我慢できずに掻き壊してしまうことがよくあります。

とびひを掻き壊すと患部が悪化するばかりか、細菌が指に付着し、その手で接触した人に感染させてしまうリスクもあります

 爪は短く切り揃え、掻き壊しを防止しましょう!

② 患部を完全に覆う

とびひに感染している患部に触れると、感染るうつってしまう可能性が大いにあります。

家庭でできるもっとも良い対処法は、自分も本人も、患部になるべく触れないようにすること。

そのため、患部はガーゼや包帯で完全に覆い、じか直に触れることがないよう注意しましょう。

ガーゼや包帯を巻く方法やタイミングは、受診した医師の指示に従いましょう。

③入浴はシャワーで

とびひの症状が強く出ている間は、同じく菌による感染を防ぐために湯舟には浸からないようにしましょう。

しかし、とびひがあるからと言って一切の入浴を禁止するのは逆効果。殺菌するために積極的によく泡立てた石鹸で優しく洗い、シャワーでよくすすぐよう指導されることが多いようです。

また、入浴後のタオルを家族と共用することも避けましょう。 

(3)受診までにしたい、正しい対処法(家族編)

とびひの正式名称を思い出してみてください。

「とびひ」=「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」は、その名の通り、人から人へ「伝染」する感染症です。!

そのため、家族の中で誰かがとびひに感染した場合、本人はもちろん、兄弟姉妹や友達に感染させてしまうリスクがあります。

とびひの感染拡大を防ぐには、日常生活でどのようなポイントに気を付ければ良いのかを見ていきましょう。

①洗濯物を分ける

感染拡大を防止するには、細菌の増殖と拡散を抑えることがポイントです。

そのため家族がとびひに感染したら、衣服に付着した細菌を必要以上に広げないよう、患者の洗濯物は分けて洗うようにしましょう!

*これには諸説あり、ますが、洗濯物を分ける必要がないということを推進している医師もいます。

特に低月齢の乳児がいる場合などは、簡単に感染拡大してしまう可能性もあります。洗濯物を分けるのは少々大変ですが、用心して損はないでしょう。

②水遊びやプール、汗をかく外遊びは避ける

とびひの症状が強く出ている時は、水遊びやプール、汗をかく外遊びはやめさせましょう。

症状の悪化や、皮膚の接触による感染の拡大に繋がることがあります。

③患部は家族もなるべく直に触れないように!

とびひは患部に触れて菌が付着することによって感染します。

家族(特に免疫が十分発達していない兄弟)もなるべく患部に触れないようにしましょう

(3)登園はどうする? 

とびひの面積が狭く、包帯などで患部が完全に覆われていれば、登園は禁止しなくても良いと言われています。

しかし、とびひの面積が広く完全に覆うことができない場合は、接触により他の園児にうつってしまう可能性もあるため、登園を禁止されることもあるようです。

とびひの程度によって、登園できるかどうかは変わります。必ず医師の判断を仰ぎ、許可が出るまでは登園しないようにしましょう。

また、 登校が許可されているとしても園の先生には必ず症状を伝え、連携が取れるようにしましょう。

(4)とびひは再発する!

とびひは、黄色ブドウ球菌という細菌が原因の感染症です。

ウイルス感染とは異なり、免疫を獲得することがないため、何度でも再発する可能性があります

とびひに感染しないためには、予防が一番!

後ほど紹介する、とびひにならないための予防法を参考に、とびひになりにくい環境や体作りを心がけましょう。 

5、とびひにならないための4つの予防法

どんどん広がる感染や痒みに、子どももママも辛い思いをするとびひ。

できることなら、とびひを未然に防ぎたいのが親心です。

とびひの感染を防ぐために、日ごろからどんなことができるのでしょうか?見ていきましょう!

(1)とびひのきっかけを防ぐ

とびひのきっかけになる、虫刺されやあせもなどの皮膚トラブルは、未然に防ぐことが大切です。

  • 外遊びやレジャーの際には、虫よけスプレーやシールを活用する
  • 虫に刺された場合は塗り薬などを使い、悪化する前に治す
  • 夏場は特に、汗をかいたらシャワーでサッと流す

このように、ママのちょっとした心がけで、虫刺されやあせもを防ぐことができます。

「たかが虫刺されやあせも」と思わず、日頃のケアを大切にしましょう!

(2)皮膚を掻かないようにする

ふと子どもを見ると、皮膚を掻きむしっていることはありませんか?

このような行動は、皮膚を傷つけることに繋がり、やがてとびひの原因となります。

日ごろから子どもをよく観察し、皮膚を掻いていたら根気強く注意してあげましょう。

爪を短く切り揃えることもわすれずに!

(3)皮膚のバリア機能を高める

皮膚のバリア機能が低下していると、簡単に細菌が表皮へ侵入してしまい、とびひの原因になってしまします。

お風呂上りに全身を保湿するスキンケアを習慣にし、皮膚を良い状態に保つことがとびひの予防に繋がります。

特に、アトピー性皮膚炎の子どもは皮膚が乾燥しやすく、アトピーによる掻きむしりや湿疹で、皮膚のバリア機能が弱くなっています

アトピーととびひを併発すると、症状も悪化しやすい傾向にあるため、適切なケアと治療を続けましょう。

※子どものアトピーについては「アトピー・赤ちゃん」で詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

(4)細菌に負けにくい身体作り

細菌感染は、身体の免疫力や抵抗力が落ちている時にかかりやすくなります。

疲れや栄養不足などが続くと細菌感染を起こしやすく、また治りにくい状態になってしまうのです

日頃から十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけ、子どもの身体を細菌から守りましょう!

まとめ

辛い痒みがでるとびひ。

子どもが嫌がる姿を見るのは、ママも辛いですよね。

しかし、何とかしてあげようと安易な自己判断をするのは危険です。

1日でも早くとびひが治るよう、子どもの皮膚に異変がある場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう!

とびひを予防する、日頃のスキンケアも忘れずに。

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