小学校受験に興味をもった時、「本命の小学校をどこにするか?」で悩む人も多いはず。
中でも国立小学校は高い人気を誇っており、お受験を考えている親にとっては大変気になる存在ですよね。
そこで今回は、「国立小学校」の全てを徹底解剖!
- 国立小学校はなぜ人気?
- 私立や公立と何が違うの?
- 国立小学校に通うメリット・デメリットは?
など、国立小学校の「基本のキ」を詳しくお伝えしていきます。
志望校選びに悩んでいるママパパは、是非参考にして下さいね。
目次
1、そもそも国立小学校とは?
国立小学校とは、国立大学の教育学部や、国立教育大学の付属小学校で、全国に69校が存在します。(2020年9月現在)
「国立」という名から「運営=国」と勘違いしている人もいるようですが、運営は「国立大学法人」です。
そのため、国立小学校には「大学の教育研究機関」という側面もあり、実験的で先進的な授業が行われているのです!
そして、これが教育熱の高い家庭から圧倒的な支持を得ており、入学試験は大変な高倍率!「滑り止めに私立小学校の受験はするけど、本命は国立小学校!」という家庭も珍しくありません。
ではなぜ、国立小学校はこんなにも人気があるのでしょうか?国立・私立・公立小学校の違いをみながら、考えていきましょう。
2、国立・私立・公立小学校の違い
国立・私立・公立小学校の大きな違いは何なのか?
こちらの表を参考に、詳しくみていきましょう。
(1)国立小学校
①学費
国立小学校の授業料は無料です。教材費・給食費・PTA会費・教育振興会費などを合わせても、毎月の負担は1万数千円程度。
寄付金は任意で一口1万~数万円ほどですが、「寄付をするのが当たり前」という雰囲気はほぼないと言われています。
このように、国立小学校の学費は私立小学校に比べて非常に安価!そのため、「公立とは違う高水準の教育を受けさせたいけど、教育費の負担はおさえたい!」という家庭から、圧倒的な支持を得ています。
②教育内容
国立小学校最大の魅力は、主体性や自立を促す先進的な授業です!
実体験から学ぶ授業や、自ら考えて発表する機会が大変多いのが特徴で、その内容は国立ならではと言われています。
特に、低学年の間は「話し合い」や「野外活動」に多くの時間が当てられており、子ども達は沢山の経験を通して「学ぶことの楽しさ」を知っていきます。
一方で、国立小学校の授業は「内容が高度」というわけではなく、宿題もないに等しいと言われています。(子ども達自身が、宿題の内容や量を決めることも。)そのため、多くの子が塾通いをしており、確かな学力を同時に身に付けているのが現状です。
と言うのも、実は国立小学校から国立中学校に内部進学する際には、全員試験を受ける必要があるのです!
国立中学校の偏差値は高いため、中学から入学する子は熾烈な受験戦争をかいくぐった精鋭揃い。その子達に引けを取らない学力を、小学校6年間で身に付ける必要があるのですね。
③保護者や学校の雰囲気
国立小学校には、教育熱心な家庭ばかりが集中します。
保護者には大手企業社員や医者、地元の名士が多く、家庭環境が荒れている子はほぼいません。「子どものために教育は惜しまない」という考えの人が多いため、いわゆる「賢い子」の中で育てたいという家庭には向いているでしょう。
また、保護者が学校に出向く機会が非常に多く、「協力するのが当たり前」という雰囲気もあるようです。トイレ掃除や草むしりなどのボランティアが、頻繁にある学校も多いです。
(2)私立小学校
①学費
私立小学校の学費は決して安価ではありません。学校にもよりますが、月に5万~10万円以上かかるケースが多いようです。
また、任意の寄付金がある学校が多く、その金額は一口数万円~数十万円。「払って当然」という意識の保護者が多いとも言われています。
このように、私立小学校に通うにはお金が掛かります!教育費に十分な額を投入できる経済的な豊かさは、私立小学校受験の最初の条件と言っても過言ではないでしょう。
②授業内容
私立小学校の教育内容は、大変充実しています!全ての授業を英語で行う学校や、道徳教育に力を入れている学校など、学校により様々な特色があるのが私立の強みです。
最新の教育機材やシステムなども積極的に導入するため、国立や公立とは一味違う「特別な教育」を受けさせることができますよ。
それゆえに、各家庭の教育方針や思い描く将来像などを突き詰め、「子どもを通わせたい!」と心から思える学校を選ぶことが大変重要。ネームバリューや学費だけで選ぶと、「こんなはずじゃなかった…。」ということにもなりかねないため、十分注意しましょう。
また、中学へ内部進学する時には、試験やこれまでの成績で総合的に判断するなど、何らかの判断基準を設けている学校が多いようです。
決して安くない学費が必要な私立小学校ですが、その分工夫を凝らした充実の教育が受けられるのは、唯一無二の魅力だと言えるでしょう。
③保護者や学校の雰囲気
私立小学校の保護者は教育熱心なのはもちろん、子どもの教育環境を最良に整えたい!と、強く願う人が多いようです。
経営者、外資系企業の社員、開業医などを親にもつ子が大半で、独自の教育理念や価値観をしっかり持つ家庭が集まっています。
強烈にセレクトされた環境のため、学校のカラーを知らずに入学してしまうと、親だけでなく子どもが劣等感を抱いてしまうこともあるようです。
休み明けのお土産交換が全部海外土産だった!というのもよくある話です。
(3)公立小学校
①学費
皆さんご存知のように、公立小学校の授業料は無料です。教材費、給食費、PTA会費などを合計しても、月5千円前後しか掛かりません!
小学校に掛かるお金が少ない分、習い事や塾に教育費を充てている家庭も少なくないようです。
②授業内容
公立小学校の授業の内容は、文部科学省が定めた「小学校学習指導要領」に基づき進められます。
教育熱心な人が多い地域もあれば、そうではない地域もあるため、地域によって大まかに「学校のカラー」があるのも、公立小学校の大きな特徴の一つです。
基本的に公立中学校に進む児童が大半なため、お子様の中学校受験を考えているなら、周囲に惑わされず家庭の教育方針を貫く意志が親子共に必要になるでしょう。
③保護者や学校の雰囲気
公立小学校は、まさに「社会の縮図」です!
やんちゃないじめっ子もいれば、口数が少なく引っ込み思案な子もいます。忘れ物ばかりする子や、宿題を全くしてこない子だっているでしょう。
また、保護者の考え方もそれぞれです。教育熱心な人もいれば、そうではない人だって当然います。
このように、様々な環境で育った子ども達が混ざり合って過ごせば、日々色々なことが起こります!この環境が、価値観の多様性や社会性を学ばせてくれる良い教材になるという考え方もありますよ。
国立や私立のように子ども達がセレクトされていないのは、ある意味大きなメリットだと言えるでしょう。
3、ズバリ!国立小学校に向いているのはこんな家庭
国立・私立・公立小学校の違い整理してみると、自然に「国立小学校に向いている家庭」がみえてきましたね!
- 子どもに先進的な授業を受けさせたい
- 小学校にかかる学費はおさえたい
- 教育熱心な家庭の子が大勢いる環境で育てたい
- そのためなら、教育活動への協力は惜しまない
このような考えのご家庭は、国立小学校に向いていると言えるでしょう。
しかし、ここで注意して欲しいのは、「国立小学校に入学したからと言って、高い学力が保証されるわけではない」ということです。
先ほどお伝えしたように、国立小学校の授業内容はレベルが高いわけではありません。しかも、宿題はないに等しいか、かなり少ないのが現状です。
そのため、国立小学校に通う子の家庭は、塾や家庭教育に並々ならぬ力を注いでいます!
「国立小学校に入学したから、もう何もしなくて良い!」というわけではないため、そこは注意しておきましょう。
4、【国立小学校ママに聞いた!】国立小学校を受験するメリット・デメリット
ここまで読んで頂き、「我が子に国立小学校を受験させたい!」という気持ちがより一層強くなった人もいるでしょう。
そこで気になるのは、「お受験って実際どうなの!?」ということですよね。
今回は子どもが国立小学校に通うママ達に、お受験のメリット・デメリットを詳しく聞いてみました!
(1)国立小学校メリット
①幼少期に十分手を掛けてあげられた!
子どもが赤ちゃんの時から、国立小学校受験を視野に子育てをしていました。お受験のペーパーはもちろん、四季折々の行事や体験、日常生活のちょっとしたことにも「学び」を意識しましたよ。
結果、「幼少期には十分すぎるほど手を掛けて育てた!」と、自信をもって言うことができます。お受験がなかったら、ここまでのモチベーションは保てなかっただろうな…。(43歳・国立小学校6年生の子のママ)
②安価な学費で先進的な授業が受けられる!
会社員の我が家。教育資金がないわけではありませんが、有り余るほどの余裕があるわけでもありません。でも、子どもには最良の環境を用意したかったので、私立ではなく国立一本で勝負を掛けました。
入学後してからは、とにかく楽しそうな毎日!近くの山に登って植物観察をしたり、地元の伝承にちなんだ調べものをしたり、体験型の学習が本当に多いという印象です。
安価な学費で先進的な授業が受けられるのは、国立小学校の大きな魅力ですよ!(39歳・国立小学校4年生の子のママ)
③一生の友達ができる
教育熱心な家庭の子が多いため、とにかくみんな真面目で良い子ばかりでした!娘はもう大学2年生ですが、今でも国立小・中学校時代の友達と仲良くしているようです。どの子も勉強以外の特技や強みがあって、一生懸命頑張る子ばかり!素晴らしい友人達との絆ができたことは、娘にとって一生の財産だと思います。(50歳・国立小学校出身の大学2年生の娘さんのママ)
④子どもを取り巻く環境が素晴らしい!
国立小学校は、とにかく教育熱心なご家庭が多いです。学級崩壊などはまずなく、児童に対する教員数も多くて安心。学校に出向く機会はまぁまぁ多いですが、子どもの教育環境のためだ!と頑張っています。(38歳・国立小学校2年生の子のママ)
⑤国立小学校出身!というブランド力
子どもはもう成人していますが、国立小学校出身と言うと、「へー!すごいね!」といつも言われるそうです。そのブランド力に助けられることもあるそうで、「頑張って受験して良かった!」とよく言っています。(54歳・国立小学校出身の息子さんのママ)
いかがでしょうか?その教育環境はもちろん、成長してからも「国立小学校で良かった!」と感じる人が多いことが分かりましたね。
しかし、国立小学校受験にはデメリットもあるようです。次で詳しくみていきましょう。
(2)国立小学校デメリット
①抽選があるため運も必要
国立小学校受験には「抽選」があります!応募の段階か個別考査の後に抽選が行われ、これにハズレたらどんなに晴らしい子でも合格できません。
我が家の場合、上の子は無事国立小学校に入学できたのですが、弟は抽選にハズレてしまったんです…!もう悔しいやら悲しいやら、どこに怒りをぶつけたらいいか分からない状況でしたが、気を取り直して弟は私立に。学校行事やPTA活動が2か所であるため、親の私はテンヤワンヤな日々です。(45歳・国立小学校と私立小学校にお子さんが通うママ)
※首都圏の国立小学校は抽選が2回行われる場合があります。
②勉強のサポートが必要
塾の模試などの成績優秀者をみると、国立小学校在籍の児童が多いんですよね。でもこれ、国立小学校の授業内容が高度だからではなく、「国立小学校に教育熱心な親が多いから」なんです!
国立小学校は宿題がほぼないため、みなさん学習塾に通うのは当たり前。プラスで家庭教師までつけている子もいます。国立小学校にかかるお金は安くても、結局塾代や習い事代にお金は消えますよ…。(43歳・国立小学校5年生の子のママ)
③中学の外部受験は賭け!
6年生の2学期頃に内部進学をするか否かの調査が行われるのですが、ここで「外部受験」を希望すると内部進学者から外れます。
ただでさえ国立中学校の偏差値は高いので、それ以上の中学を確実に狙える学力をもつ子が受験するようです。もし本命の中学校が不合格の場合、内部進学できるはずだった国立中学校より、レベルの低い学校に行くはめになるので…。
ハッキリ言って中学の外部受験は命がけです…。(48歳・国立小学校6年生の子のママ)
④高校受験が必須
うちの息子は内部進学で国立中学校まで進み、高校は必然的に外部受験をしました。
でも、これが本当に大変だったんです!中学3年生の男子は思春期真っ只中!会話すらままならない中、勉強しなさい!という親の意見なんて聞き入れてくれません…。結局、県内トップ私立高校は落ちました。
【公立小学校➡県内トップ私立中・高一貫校】というルートを辿った方が、大学受験には有利だったんじゃないか…?と少し後悔しています。(50歳・国立小学校出身の子をもつママ)
⑤受験対策が大変
とにかく受験対策が大変でした。国立小学校受験は勉強だけではなく、「日々の生活」も大切なんですが、お受験を意識したのが遅かった我が家は苦労しました。自主性や社会性は一朝一夕で育つものではないため、国立小学校受験をお考えの方は是非早めの対策を行って下さいね。(38歳・国立小学校1年生の子のママ)
いかがでしょうか?大学受験まで見据えると、必ずしも国立小学校が有利というわけではなさそうですね。
メリット・デメリットをよく考え、国立小学校受験を決めて下さいね!
5、まずは家庭から!国立小学校合格に必要なこと
ペーパー対策だけでは不十分!国立小学校に合格するためには、日々の生活も大切です。
- 人の話をきちんと聞くことができる
- 集中力があり粘り強い
- 協調性がありルールを守れる
- 積極的に自分の意見が言える
- 自分で物事を考えて実行する
- 好奇心旺盛
など、ノビノビと子どもらしい中にも、きちんと規律を守れるような子が求められているようです。
このような子に育てるためには、幼い頃からの家庭での接し方が大切です。
- 人の話を聞く習慣をつけるために、まずはママパパが子どもの話をよく聞く
- 集中力を養うために、ブロックや将棋など何かに夢中になる時間を設ける
- 同年代の子どもと積極的に関わり、社会性や協調性を身に付ける
- 指示ばかりするのではなく、「あなたはどう思う?」と子どもの意見を聞く
など、子どもとの関わり方一つ一つを見直してみましょう!
まとめ
国立小学校の「基本のキ」をお伝えしました。
メリット・デメリットや学校の内情を知ることは、志望校選びの第一歩!
この記事を参考に、国立小学校について詳しく知って頂ければ幸いです。
3歳と6歳の子を持つママライター。子ども達を「食うに困らない人間」に育てるべく、0歳から様々な幼児教育を実践!その効果が出ているかはさて置き…育児と仕事に全力投球中の30代です。夫と家事全般の優先順位が下がる一方なのが悩みの種。