子どもの食事に関する悩みの中で最も多いのが、野菜を食べたがらない、ということですよね。筆者の子どもは比較的よくなんでも食べますが、それでもピーマンやインゲンは食べてくれません。
子どもがなかなか野菜を食べてくれないと、「栄養不足になるんじゃないか」「発育に何か悪影響があったらどうしよう…」と悩んでしまうママ・パパは多いはず。^
そもそもなぜ子どもは野菜が嫌いなのでしょうか。今回は、その要因を探っていくとともに、野菜嫌いを上手に克服する方法についてもあわせてご紹介していきます。
お子さんが無理なく自然に野菜を口にできるようなアイデアばかりなので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
目次
1、食育では永遠のテーマ、子どもの野菜嫌い
もしかしたらみなさんの中には、「自分も小さい頃は野菜が嫌いだったなぁ」という記憶のある方もいらっしゃるかもしれませんが、今も昔も野菜嫌いの子どもは決して珍しくありません。
実際に、食品メーカーのカゴメが3~12歳の子どもを持つ母親に実施したアンケート調査でも、野菜が「嫌い・やや嫌い」と回答された割合は全体の47.8%と半数近くにのぼりました。
もう半分の「好き・やや好き」と回答した子どもの中にも、代表的な30種類の野菜のうち「嫌いな野菜がある」子どもは74.1%を占め、野菜好きかどうかに関わらず、苦手な野菜のある子どもは非常に多いことが分かったのです。
- カゴメのアンケート調査
https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2019/img/20190307777.pdf
古今東西、子どもの野菜嫌いというのは永遠のテーマのようですね。
2、子どもが野菜嫌いなのは本能?その理由とは
それでは、これだけ多くの子どもに苦手な野菜があるのは一体なぜなのでしょうか。
子どもが野菜を嫌う原因について詳しく見ていきましょう。
(1)味覚が敏感
まず前提として、子どもの味覚センサーは大人よりも敏感に反応する傾向があり、大人に比べて野菜の味をクリアに感じやすいという背景があります。
AISSY株式会社がこの味覚センサー=味蕾(みらい)に関して行った研究によると、生後3ヶ月の頃には約10,000個も備わっている味蕾が、20~30代には5,000~7,500個、60代になると3,000個程度にまで減少してしまうというデータも出ており、この数字からも子どものほうがより繊細な味覚を持っていることが分かるでしょう。
(参考)https://select.mamastar.jp/231744
(2)本能的に避ける味覚がある
人間が感じることのできる味にはそもそも「甘味」「塩味」「旨味」「酸味」「苦味」の5種類があり、この5つはそれぞれ「人間が本能的に好むかどうか」という基準で次のように分けることができます。
- 本能的に好む
- 甘味:白米やパンなどに含まれる炭水化物
- 塩味:塩に含まれるミネラル
- 旨味:肉や魚などに含まれるタンパク質
- 本能的に避ける
- 酸味:腐っているもの・熟していない(食べごろでない)もの
- 苦味:毒
野菜には、どちらかというと「酸味」「苦味」が多い傾向があり、これら2つの味はいずれも人間が本能的に避ける味覚となっているのです。
(3)馴染みがないもの
人には、初めて目にするものや馴染みのないものに本能的な恐怖を抱く性質があります。
これは未知なるものからなるべく自分の身を守るための防衛機能なのですが、小さい頃は特にこれが強く働き、これまで食べたことのないものを避けたがるお子さんも多いでしょう。
3歳くらいまでに口にしたことのないものは、その後避ける傾向が強くなるという説もあります。
(4)その他の要因
大人に比べるとまだまだ食体験の浅い子どもは、ママ・パパからすると「そんなことで?」と驚くような些細な理由でも野菜に対して拒否反応を起こしてしまうことがあります。
たとえば見た目・香り・口に入れたときの食感など、野菜の何らかの特徴に嫌いなところがある場合や、過去に食べてみておいしくなかった記憶がある場合、もっと言えば味ではなくその野菜を食べたときの状況に嫌な思い出がある場合(怖い思いをした・叱られたなど)にも、「あの野菜を食べるとまた同じようなことが起こるのではないか」という潜在意識から食べるのを嫌がるようになってしまうこともあるのです。
3、子どもの野菜嫌いは克服すべき?栄養バランスは?
では、ママ・パパの頭を悩ませる子どもの野菜嫌いは、何らかの方法で克服することができるものなのでしょうか?
克服できなかった場合、栄養バランスに問題はないのでしょうか?
気になるポイントをチェックしていきましょう。
(1)野菜嫌いは克服できる?
そもそも野菜嫌いは克服できるものなのかどうか、心配な方も多いかと思います。
先ほどのカゴメが実施した調査によれば、「子どもの好き嫌いを直すための工夫は成功したか」という質問に対して、「成功した・ある程度成功した」が42.4%、「どちらとも言えない」が39.4%、「あまり成功しなかった・成功しなかった」が18.2%という結果になっており、何らかの工夫を行っても克服できるのは半分以下の割合にとどまっていることが分かります。
(参考)https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2011/img/110829.pdf
(2)子どものうちは克服できなくてもよいという意見も
中には、「無理に食べさせようとすると悪循環にハマってしまうことが多い。3歳近くまで食べない場合、食べさせることを諦めて、子どもが自分から食べなきゃと気づく日を待ってあげるのも方法のひとつ」という考えを提案する医師もいます。
この意見を受け、実際に子どもの野菜嫌いを直すことを諦めたママからは、「だいぶ食事がしやすくなった」という声も。
色々な工夫を取り入れてみても子どもが野菜を口にしない場合は、その状況をあえて受け入れ、待ちの姿勢に転じてみるのも良いのかもしれませんね。その野菜からしか採れない大事な栄養素というものはほとんどありません。他のものを食べていれば大丈夫!と気楽に考えてみるのも一つです。
(3)成長すれば、克服できるもことも
みなさんの中にも、子どもの頃に比べると自分の味覚が変わったという自覚のある方がいらっしゃるかと思いますが、成長するにつれて人間が本能的に避けたがる「酸味」や「苦味」の中にも食べられるものがあることをだんだんと理解できるようになり、小さい頃に食べられなかった野菜を克服できる例は多いものです。
そういう意味でも、子どもが自発的に食べてみようと思うまで待ってあげるというのは、選択肢のひとつになるでしょう。
4、子どもに人気の野菜、人気のない野菜ランキング
ここからは、どういう野菜が子どもに好まれやすいのか・嫌われやすいのか、それぞれのランキングを発表していきます!
(参考)https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2011/img/110829.pdf
(1)好きな野菜
- トウモロコシ
- じゃがいも
- えだまめ
- さつまいも
- きゅうり
このほか、トマト・ブロッコリー・にんじん・かぼちゃなど、甘味の強い野菜は子どもに好まれやすいようです。
(2)嫌いな野菜
- なす
- ピーマン
- しいたけ
- 水菜
- オクラ
一方、嫌いな野菜ランキングには、やはり独特の風味を持つ野菜や苦味の強い野菜が並びました。
ニラ・ねぎなどの特徴的な香りも苦手な子どもは多いようです。
5、野菜を克服するためのアイデア7選
「子どもの野菜嫌いを諦める前に、できることがあるなら試してみたい」というママ・パパのために、子どもが自然と野菜に興味を持つよう促すことのできるアイデアをピックアップしてみました。
実際の体験談もいくつかご紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
(1)みんなが美味しく食べる様子を見せる
まずはママ・パパがお手本になって、「この野菜美味しい!」と言いながらパクパク食べる様子を子どもに見せてあげることから始めてみましょう。
ママやパパ自身が嫌いで食べることのできない野菜は、それを見ている子どもの中でも無意識のうちに「食べると良くないもの」に分類されてしまいます。
逆に「これ美味しいよ、一緒に食べてみる?」と聞いてあげるだけで、野菜に興味を持ってくれることもあるので、ぜひ試してみてください。
(2)調理方法を工夫する
野菜の青臭さ・泥臭さが苦手な子どもは多いので、下茹でをしてアクやにおいを取るなど、普段よりも丁寧に下処理を行ってみましょう。
または、カレーなど味の濃い料理に紛れ込ませることで、野菜本来の味を感じさせないというのもひとつの手です。
先輩ママの例では、星や花などの型抜きを使い、野菜を可愛く飾ることで子どもが喜んで食べてくれた!という成功パターンもあるので、子どもと一緒にそういった盛り付けを行ってみるのも良いかもしれませんね。
(3)野菜ジュースにする
食事の中で摂るのが難しいときには、子どもの好きなおやつタイムの中に野菜を忍び込ませてみるのもおすすめです。
甘味の強い果物と組み合わせた野菜ジュースなら、喜んで飲んでくれる子どもも多いですよ。
(4)すりおろしやみじん切りで混ぜる
野菜の原型が分からないよう、すりおろしやみじん切りにしたものを子どもの好きなメニューに混ぜ、様子を見てみるのも良いでしょう。
すりおろした野菜なら、ハンバーグやスープのほか、ホットケーキやマフィンなどのスイーツにも組み合わせることが可能です。
そうして味覚を慣らすことで、いつの間にか野菜が食べられるようになったというケースも少なくありません。
(5)違う人が作ったものを食べさせてみる
学校に入って給食が始まったり、外食に出かけたりして環境が変わると、案外すんなり野菜を口にしてくれるパターンもあります。
特に給食では、周りの友達がみんな食べていると、「自分もちゃんと食べないと恥ずかしい」という気持ちが芽生え、自発的に克服しようとする流れになりやすいでしょう。
祖父母やお友達の母親が作ったものなどで、単純にいつもとは違うメニュー&味付けだから興味が湧いた!というケースもあるようです。
(6)野菜を栽培してみる
体験談で意外と多かったのが、こちらの「自分で育てた野菜なら食べることができた」というケース。
手間暇をかけて見守ってきた野菜にはやはり愛着が湧きやすく、大切に食べなければという気持ちにもなりやすいためおすすめです。
私自身も小学校で栽培したことがきっかけで茄子が食べられるようになりました。ミニトマトやきゅうりなど、家でも比較的簡単に栽培することができるものもあるので、是非チャレンジしてみてください。
また、野菜の収穫体験などに行ってみるのもいいかもしれません。私の子どもも芋掘り遠足で採ってきたサツマイモは大喜びで食べていました。
(7)効果を説明する
少し大きくなったら、なぜ野菜を食べたほうが良いのか、その効果を子どもにも分かりやすい言葉で説明してあげましょう。
たとえば多くの野菜に含まれているビタミンCには、身体の免疫力を高めて風邪を引きにくくする効果があります。
過去に風邪でしんどい思いをしたことがある子どもなら、「この野菜はね、あなたの身体を風邪から守ってくれるんだよ!」と伝えることで、野菜に興味を持ってくれるかもしれません。
(8)絵本やアニメ、歌などで興味を持たせる
絵本やアニメなどで親しみを持つことができたら、食べてくれるようになることもあります。
野菜を題材にした絵本はたくさんありますし、子どもに大人気のアンパンマンにも野菜のキャラクターがたくさん出てきます。
特におくらちゃんは、野菜を育ててみんなに配る野菜愛にあふれたキャラクターですよね。私の子どもは、お弁当箱の歌で、「あなーのあいたれんこんさん」と蓮根を食べるようになりましたよ。
まとめ
野菜嫌いの原因と克服のアイデアをご紹介しましたが、ヒントになりそうなものはあったでしょうか。
子どもの野菜嫌いの要因には本能的な部分もあり、成長するにつれて自然と食べられるようになるケースも多いため、頑なに野菜を口にしない場合は、無理して克服させようとする必要はありません。
むしろ「嫌だと言ったのに無理やり食べさせられた」というようなネガティブな思い出ができてしまうと、野菜嫌いの克服がさらに遠のいてしまう可能性もあります。
まずは楽しく食事をすることを1番に優先し、食事にまつわる明るい思い出をたくさん作っていきましょう。
趣味はHIPHOPダンスとショッピング。
最近では3歳になる娘と渋谷や原宿の古着屋巡りがブーム。
仲良しな反面、口が達者になった娘との言い合いも増え、毎日イライラする事も多し…。
子育ての息抜き時間を、どう上手く確保すればいいのか模索中。