生活・ケア・しつけ

【実録】小さく生まれた赤ちゃんはどう育つ?発達や退院後の生活は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新しい命の誕生は大変喜ばしいことですが、全てのお産が順調に進むわけではありません。

中には、予定日よりずっと前に赤ちゃんが誕生してしまい、大きな不安を抱えている人もいるでしょう。

今回は、そんなママパパを少しでも勇気付けたいと思い、【小さく生まれた赤ちゃん】に関する情報を発信していきます

  • 小さく生まれた赤ちゃんの入院生活はどうなるの?
  • 退院した後の生活は?
  • 発達の遅れが出るのか?心配でしょうがない…。
  • コロナ禍のNICUでの生活は?面会はできる?
  • 家族ができるサポートがあれば知りたい。

このような疑問や不安、悩みについて、実際に早産を経験したママが詳しく答えていきますよ!

※本記事は、早産経験者ママへのインタビューをベースに書かれていますが、治療や処置の詳細は必ず医師へご相談下さい。

あわせて読みたい!
 
あわせて読みたい!
 
あわせて読みたい!
 
あわせて読みたい!
 
あわせて読みたい!

1、小さく生まれた赤ちゃんの定義

はじめに、小さく生まれた赤ちゃんの定義を詳しくお伝えしていきます。

(1)小さく生まれた赤ちゃん「未熟児」という呼び方はもう古い?

ひと昔前までは、2,500g以下の小さく生まれた赤ちゃんを総称して、「未熟児」と呼んでいました。

しかし、小さく生まれても問題ない赤ちゃんがいる反面、2,500g以上で生まれても身体機能に問題がある子もいるため、出産体重だけで分類するのはおかしい!という考え方が生まれました。

そのため、現在では出生体重に加え在胎週数による分類がなされています。

①【出生体重】による分類

【出生体重】による分類は以下の通りです。

2,500g未満の赤ちゃんを「低出生体重児」、1,500g未満の赤ちゃんを「極低出生体重児」、1,000g未満の赤ちゃんを「超低出生体重児」と呼んでいます。

②【在胎週数】による分類

また、【在胎週数】による分類が以下の通りです。

在胎37週未満の赤ちゃんを早産児、在胎42週以上の赤ちゃんを過期産児、在胎37~42週未満の赤ちゃんを正期産児と呼んでいます。

(2)小さく生まれた赤ちゃんは「低出生体重児」は増えている

近年、日本の赤ちゃんの出生数は減少しているにも関わらず、「低出生体重児」(2,500g以下)の数は増加しています

具体的には、日本の全出生時の10人に1人が「低出生体重児」で、これは先進国の中でも飛びぬけて高い割合です。

(不妊治療による双子、医療の進歩により救える赤ちゃんが増えたことなどが原因と考えられている。)

このような背景を受け、小さく生まれた赤ちゃんとその家族をサポートする制度・施設も整いつつあります!ママは1人ぼっちで我が子を育てるのではなく、医療関係者などと連携・協力し、子育てをすることが可能なのです。

特に、入院中は医療スタッフの手厚いサポートがあり、ママの漠然とした不安や悲しみにも親身になって寄り添ってくれます!

次では、入院中~退院後の赤ちゃんとの生活について、詳しくみていきましょう。

2、小さく生まれた赤ちゃんの入院生活

小さく生まれた赤ちゃんとママは、病院でどんな生活を送るのでしょうか?早産経験者ママの、貴重な声もご紹介していきます。

(1)しばらくはNICUに入院

早産児や2,500g以下で生まれた赤ちゃん、そして病気の治療が必要な赤ちゃんは、「NICU」(新生児集中治療管理室)に入院します

NICUではママのお腹の中と同じような環境が整えられており、なるべく早くママパパのもとへ帰れるよう、24時間体制で最大限の治療・支援がされています

また、NICUでは赤ちゃんだけでなく、ママパパへ寄り添う看護が大切にされており、スタッフ全員で「赤ちゃんのケア」と「家族の心のケア」にあたっています!ママパパは医療スタッフに全幅の信頼を寄せて、赤ちゃんを託すことができますよ。

【小さく生まれた赤ちゃんのママ2人からのメッセージ】

41歳・3歳双子のママさん

出生体重1950g・1880g在胎週数33週1日

「早産で急遽帝王切開になった時、「ママはとにかく今頑張って!

あとは、私達に任せて下さい!」と、医療スタッフに言われた言葉が忘れられません。

その言葉通り、NICU入院後の治療はもちろん、日々の報告や写真など、全力でサポートをして下さいました!」

36歳・2歳男の子のママさん

出生体重621g・在胎週数25週3日

「我が子がNICUに入院した時、「自分にできることは何一つない…。」と、不安や焦りから自暴自棄になった時期がありました。

そんな時、「母乳はママにしか出せませんよ。私達ではダメなんです!」と、看護師さんが強く励ましてくれて、勇気をもらいました!」

(2)ママが先に退院することが多い

赤ちゃんがNICUに入院すると、ママが先に退院するケースが圧倒的に多いです仕方のないことですが、赤ちゃんの入院が長引くほど、ママと離れ離れの期間も長くなってしまうのです。

そこで重要になるのが、【赤ちゃんと触れ合う時間を極力多く持つことです!

正期産で誕生した場合は、カンガルーケアと呼ばれるママと赤ちゃんの肌の触れ合いが生まれてすぐに行われます。このカンガルーケアは、ママと赤ちゃんの繋がりや愛着を強め、母乳育児をスムーズに行う効果がある大変重要なものです。

しかし、NICUに入院している赤ちゃんの中には、自由に抱っこするのが難しい子も多く、赤ちゃんとママの触れ合いが不足してしまう懸念があります

そのため、NICUでは基本的に24時間いつでも面会可能な体制がとられており、ママの体調が良ければ毎日でも我が子に会いに行くことができるのです!

産後は体調が不安定で面会に行くには体力も必要ですが、できる限り赤ちゃんと触れ合う時間を過ごしましょう。

小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ

34歳・3歳女の子のママさん

出生体重2130g・在胎週数33週2日

「NICUに入ると、普通に退院した赤ちゃんより抱っこしてもらえる時間がとても少ないから、なるべく来て抱っこしてあげてね。」と看護師さんから何度も言われました。

我が子に会って抱きしめたい!そんな一心で毎日通っていたことを、昨日のことのように思い出します。

(3)【実録】コロナ禍のNICU

お伝えしたように、NICU入院中は親子の触れ合いが大変重要なのですが、それが2020年12月現在、コロナウイルスの猛威により叶わなくなる事態になっています

4月の緊急事態宣言中は、NICUは原則面会禁止。緊急事態宣言終了後は、1日30分のみ我が子に会えるケースもあるようですが、中には1週間に1度、両親のうちどちらか一方のみしか面会できない病院もあるようです。

このような状態では親子の絆が失われる可能性があり、現場スタッフも危機感を募らせています

赤ちゃんの様子を電話で伝えたり、動画を送ったり、出来る限りの配慮をしていますが、ママパパの直接の面会には及ばないのが実情です。

【小さく生まれた赤ちゃんのママ2人からのメッセージ】

39歳・生後1ヶ月女の子のママさん

出生体重1030g・在胎週数26週5日

「コロナ禍で1日30分という面会制限があります。

医師からの説明なども受けるため、我が子と触れ合える時間は実質10分程度です…。

このまま退院して、この子をうまく受け入れられるのか?漠然とした不安が拭えません。」

36歳・生後1ヶ月男の子のママさん

出生体重600g・在胎週数24週3日

「息子が入院している病院でコロナウイルスの感染者が発生したため、NICUの面会は週に父・母1回ずつ、計2回のみしか叶いません…。

会いたいのに会えない悔しさが募るばかりです。家にいてもずっと赤ちゃんのことばかり考えてしまい、休まる時がありません。」

早産経験者のママ達の声は、どれも胸に響くものばかりでしたね

コロナ禍の今では我が子と思うように会えず、辛い日々を過ごしているママも大勢いることが分かりました。

しかし、NICUの医療スタッフの方々は、日々全力で赤ちゃんと親のケアをしてくれています。ママパパ医療スタッフの方々を信じ、我が子を託す覚悟を持ちましょう!

3、小さく生まれた赤ちゃんの退院後の生活

続いて、早産で生まれた子の退院後の生活についてみていきましょう。

(1)RSウイルスには要注意!

RSウイルスは、どの子も2歳頃までに感染するありふれた感染症です

しかし、早産児がRSウイルスに感染すると、重症化するリスクが非常に高いと言われています

これは、早産によりママから受け取る抗体が少ないことや、呼吸器の未熟さが主な原因と言われています。

特に、胎児の呼吸器は最後に完成するため、生まれるのが早ければ早いほど、呼吸器が未熟な状態のままなのです。

そのため、早産児はRSウイルスの流行時期(冬)が過ぎるまで、毎月1回予防接種を行い、感染した時の重症化を抑制することが大切です

小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ

35歳・4歳女の子のママさん

出生体重1890g・在胎週数32週5日

私の娘は7月生まれで、3月頃まで月一回RSウイルスの予防接種に通いました。

検診もありますが、RSウイルスの注射が主な目的です。冬の流行時期が過ぎるまで毎月通うのは大変でしたが、幸い重症化することなく一安心しています。

(2)定期的に病院を受診

早産児が退院した後は、定期的に病院を受診する機会が多くなります。

  • 定期検診
  • 予防接種
  • 鉄剤の処方

など、赤ちゃんの命を守るための大切な受診です。

正期産の子に比べると病院に行く機会が多いため、気がめいってしまうこともあるかと思いますが、赤ちゃんの成長を信じ乗り切りましょう!

【小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ】

38歳・2歳男の子のママさん

出生体重1790g・在胎週数31週3日

病院に行って予防接種を受ける度に泣く息子…。その姿を見て、「大きく生んであげられなくてごめんね。ごめんね。」と、心の中で泣いていました。

でも、予防接種は子どもの命を守る大切なもの!と自分に言い聞かせて頑張りましたよ!

(3)発育は修正月齢で考えよう!

早産児の月齢は、実際に生まれた日ではなく「出産予定日」を基準に考えます!

これを、修正月齢と呼んでおり、例えば予定日より3ヶ月早く生まれた子は、生後3ヶ月で修正月齢0ヶ月、生後6ヶ月で修正月齢3ヶ月となります。

この場合、「生後3ヶ月で体重が2500gしかない…。」と不安になる気持ちは分かりますが、修正月齢はやっと0ヶ月です!冷静に捉えると正期産と変わらないペースで成長していることが分かるため、ママパパはくれぐれも焦らないようにしましょう

また、修正月齢に直しても、正期産以下の身長・体重ということもあるでしょう。

しかし、在胎週数が短く出生体重が小さい赤ちゃんほど、発育がゆっくりな傾向にあるため心配し過ぎることはありません

どうしても気になる場合は、遠慮せずに医師に相談してみましょう。

小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ

47歳・17歳高校生男子のママさん

出生体重990g・在胎週数29週1日)

幼い頃は、修正月齢で考えても発達が遅かった息子。

本当に心配しましたが、小学校高学年頃から急に食が太くなり、体力もアップしました!

そんな息子はもう高校生。甲子園を目指す野球少年に成長しましたよ!夫より身長も高いです!

(4)発達の遅れはある?

早産児は、発育・発達過程において何らかの問題が生じる可能性があります。

このように聞くと、心臓をえぐられるような気持ちになりますが、過度に心配し過ぎるのは禁物です。

なぜなら、在胎週数35~37週未満の早産児は、発育状態にほぼ問題は起こらないことが分かっているからです。

また、最近の大規模調査によると、在胎週数28週未満の超低出生体重児でも、3歳までに3/4は正常に発達することが判明しています!

確かに、超低出生体重児の場合、失明弱視脳性麻痺精神発達遅延のリスクは拭い去れません。しかし、早産=必ず障害が起きるという考えは全くの間違いです

早産の赤ちゃんにどのような発達の遅れや障害は残るかは、すぐには分かりません。

そのため、定期健診をきちんと受け、経過を見守ること続けましょう。

小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ

31歳・2歳男の子のママさん

出生体重1702g・在胎週数34週5日

「医療スタッフからは、これから起こり得る後遺症や障害について、細かく説明されると思います。その話を聞くだけで、いたたまれないような気持ちになりますよね。

でも、必ずしも障害や後遺症が出るわけではありません!赤ちゃんの生命力はすごいです。ママパパもそれに負けないくらいの、パワフルさを持ちましょう!」

(5)様々な制度を活用しよう!

日本における低出生体重児の増加を受け、赤ちゃんはもちろん、家族をサポートする制度も充実してきています。

  • 低出生体重児の訪問指導…助産師・保健師が家庭訪問・指導を行う
  • 養育医療制度…NICUの医療費の一部公費負担(世帯の所得税課税額に応じて異なる)
  • 在宅医療…医療的ケアを必要とする子に対する支援

などを活用し、少しでもママパパの負担を軽減させましょう。

4、小さく生まれた赤ちゃんのために特別に準備すべきもの

小さく生まれた赤ちゃんには、特別に準備するものがいくつかあります。

早産児用の小さいサイズのオムツや肌着、そして入院中の赤ちゃんに母乳を届けるための搾乳機が必要です。

小さく生まれた赤ちゃんのママからのメッセージ

37歳・5歳男の子のママさん

出生体重623g・在胎週数24週5日

「予定日より4ヶ月以上も早い急なお産で、全く準備をしていませんでした。

そのため、退院後の搾乳に備えて、病室から搾乳機をネット購入して実家に送りました。」

5、小さく生まれた赤ちゃんママパパの心構え

早産は、ママ自身はもちろん、家族全員が不安を感じ酷く落ち込んでしまうことも少なくありません。

  • こんなはずじゃなかった。自分に落ち度があるのだろうか…?
  • あの時〇〇していれば、もしかしたら防げたかもしれない…。
  • 大きく生んであげられなくて申し訳ない…。
  • 子どもの将来に対する漠然とした不安が拭えない。
  • 小さく生まれた我が子をちゃんと育てることができるのか?不安が尽きない。
  • どうしてうちの子だけ…?と、毎日に余裕がなく苛立つ。

など、時にネガティブな感情を抱いてしまうこともあるでしょう

しかし、小さく生まれたからと言って悲観することはありません!

平昌オリンピック、スケート銀メダリストの宇野昌磨選手や、リオデジャネイロオリンピック、陸上銀メダリストの山縣亮太選手など、日本を代表する活躍を見せる人達の中にも、小さく生まれた方がいるのです!

そして、ママ達からは、小さく生まれたからこそ、味わえた喜びがある!という、前向きな声も数多く寄せられています。

【小さく生まれた赤ちゃんのママ3人からのメッセージ】

32歳・3歳女の子のママさん

出生体重943g・在胎週数28週3日

「確かに成長はゆっくりで、まわりの子と比べて落ち込む時もありました。

でも、「前は保育器の中で母乳を管で飲んでいたのに、今は離乳食を食べている!」など、成長の1つ1つを噛み締めて感動することができました。」

38歳・5歳男の子のママさん

出生体重722g・在胎週数26週2日

「保育器に入っている頃は想像もできないことだと思いますが、息子が5歳になった今、早産児だったことは忘れています!

それほど、子どもの成長具合はたくましいです!今、お子様が早産児で生まれたママ全員に、このことを伝えたいです。」

42歳・5歳男の子のママさん

出生体重1022g・在胎週数29週1日

「沢山写真や記録をとっておくことをおすすめします!管に繋がれた痛々しい写真もありますが、それだけに成長した有難さや喜びを感じ、感慨深くなります。」

6、番外編!家族ができるサポート

早産を経験したママをサポートするには、医療スタッフだけでなく家族や周囲の協力も不可欠です!

ママは産後の不安定な精神状態の中、現実を少しずつ受け入れていかねばなりません。不安や落ち込みもありますが、目の前のことに必死でハイな一面が垣間見えることもあるでしょう

その姿に「ママは強い!これなら大丈夫!」と感じることもあるかもしれませんが、それは、そのように見えているだけです!

これからご紹介する早産経験者ママの声を参考に、ママを全力でサポートしてあげましょう。

小さく生まれた赤ちゃんのママ2人からのメッセージ

40歳・1歳女の子のママさん

出生体重923g・在胎週数28週1日

「コロナ禍で会うことは難しかったですが、姉が毎日電話で励ましてくれました。

赤ちゃんを残しての退院で、日中やることもなく放心状態で過ごしていたため、話を聞いてくれるだけで心が楽になりました。」

38歳・3歳男の子のママさん

出生体重1511g・在胎週数30週3日

「我が子の退院と同時に、沢山の出産祝いを頂きました!早産と知った友人や親戚が、退院時期を見計らってお祝いしてくれたんです。

正直、我が子の入院中にお祝いを頂いても、心に余裕がなく困っていたと思うので、「赤ちゃんの退院を待つ」という気遣いが本当にうれしかったです!」

周囲のサポートが、ママに勇気を与えます!家族は、自分ができる最大限のサポートを行ってあげて下さいね

まとめ

正期産のママに比べると、早産は大変なことも沢山あるでしょう。しかし、その分子どもへの愛情・絆は固く、成長や回復の一つ一つに喜びの涙が溢れます!

この大変な経験をプラスに転換することで、家族全員がさらに幸せになった!そんな意見もありました。

ママパパは悲観することなく、前を向いてお子様と向き合っていきましょう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

PAGE TOP