躍動感溢れる絵に、思わず惹き付けられる人多数!田島征三さんは、日本絵本界の重鎮とも言える絵本作家です。
- 田島征三絵本のおすすめ作品は?
- パワーみなぎる作風の秘密が知りたい!
- 動植物を描いた絵本が多いけど、それはなぜ?
など、今回は田島征三さんの人となりや作品について、とことん突き詰めていきたいと思います!
まるで絵本から飛び出してきそうな、生命力溢れる絵を生み出す田島征三さん。その秘密を知りたい人は、是非続きをお読み下さい。
1、田島征三さんってどんな人?
出典:http://ehontokinomi-museum.jp/profile/
田島征三さんは1940年に大阪府で誕生しましたが、幼少期は自然豊かな高知県で育ちました。
多摩美術大学図案科在学中に、手刷りの絵本「しばてん」を制作。「ちからたろう」の第2回ブラティスラヴァ世界絵本原画展金のりんご賞受賞をきっかけに、多くの受賞歴を重ねてきた、日本絵本界を代表する絵本作家の一人です。
さて、そんな田島征三さんには双子の兄、征彦さんがいることをご存知でしょうか?
絵本好きな人の中にはピンと来た人もいるかもしれませんが、征彦さんもまた、多くの人気作品を生み出す絵本作家!
中でも1978年に発行された「じごくのそうべい」は、長きに渡って子ども達を楽しませているロングセラー。
征三さんも、「自分が描いた絵本を、全部足しても足りないくらい売れている。」と話しているほど、兄征彦さんの「じごくのそうべい」は大人気です!
このように、双子の兄弟で活躍している征彦さんと征三さんですが、実は幼少期の体験が作品作りに大いに活かされていると言われています。
田島征三絵本が人気の秘密は何なのか?次でひも解いていきましょう。
2、田島征三絵本が人気のワケ
出典:https://mainichi.jp/articles/20170420/ddl/k13/040/140000c
それでは、田島征三絵本が人気のワケを詳しくみていきましょう。
(1)田島征三さん絵本特徴1:自然の大胆さを表現した絵
田島征三さんは「絵で命を表現したい」という想いを強く持っており、自然の大胆さや生々しさを表現した絵本を、数多く生み出しています。
これには、征三さんが高知県で過ごした幼少期が大きな影響を与えています!戦後の日本が貧しい時代、田島兄弟は山鳥を捕まえ食料にしていたそうです。
言葉にするのは簡単ですが、実際に幼い子どもが自然動物を捕獲して殺めるのは相当な大変さ!
首が折れた状態で逃げまどう瀕死の山鳥を、小学1年生ほどの子が泣きながら懸命に捕まえ、そして渾身の力で殺める…。現代の子ども達には到底真似できないであろう、命を自らの手で感じる生々しい体験が、田島征三絵本には表現されているのです。
例えば「つかまえた」は、田島少年の忘れられない体験を元に描かれています。無我夢中で魚を捕まえる様子は、今にも絵本の中から出てきそうなほどです。
まるで生き物を素手で掴んでいるかのような、感触や想像を子ども達に与えてくれる!そんなリアルな作風は、田島絵本ならではと言えるでしょう。
(2)田島征三さん絵本特徴2:確かな経験から生み出される絵本
田島征三さんは、「自分が体験して、本当に理解してからでないと描けない」という考えを持っています。
そのため、「描こう!」と思い立ってから10年以上経過して、やっと完成した絵本もあるほど!その代表とも言えるのが、「はたけうた」という絵本です。
この絵本は、田島さんが実際に農業を始めてから、15年も経って世に出た作品!
- 農作業を少しかじって、すぐに絵本を出す何てあざとい!
- 本当に深いところまで描こうとするなら、自分自身が農業を身につけてからでないと!
そんな、征三さんの強い信念が表れている作品です。
「商品」として絵本を出すなら、万人受けする表面的なものが売れるのかもしれない。しかし、「作品」として絵本を世に出し続けたい!田島征三絵本には、そんな想いが散りばめられているのです。
ちなみに、田島さんが「はたけうた」を発行できると感じたきっかけは、自分で育てた野菜と「会話」ができるようになったと感じたから!こんな発想があるのも、征三さんならではのユニークさを物語っていますね。
(3)田島征三さん絵本特徴3:コンプレックスを味方にする
戦後の混沌とした時代のせいなのか?征三少年はずっとコンプレックスを抱えていました。
食糧難のせいで栄養失調になり、発達が遅れたためとご本人は述べていますが、劣等生でのろま、悪ガキ、それでいて虐げられた生活が「コンプレックス」となって重くのしかかってしまったのです。
しかし、「俺はこんな子なんだ!」と覚悟を決めた田島さん!コンプレックスが自分を攻撃するものではなく、コンプレックスと仲良くすることが自然にできるようになったそうです。
そんな田島氏自身の苦労話をリアルに描いた作品、「絵の中のぼくの村」は映画化までされました!征彦・征三兄弟の幼少期がどんなものだったのか?どんな風に絵本に表現されているのか?手に取るように分かると評判です。
田島征三ファンなら、一度は見てみる価値アリですよ!
3、田島征三絵本「つかまえた」を親子で読んだ感想!
出典:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784032220209
2020年7月に発行された、田島征三氏の最新作!「つかまえた」を、今回は子ども達と一緒に読んでみました。
- つかまえた 田島征三(著) 価格:¥1,540(税込)
まず、その表紙をみてビックリ!水彩絵の具の滲みで表現されているのでしょうか?
魚を捕まえようとした時の大胆な動きや水しぶきが、まるで本物のように表現されています。
期待に胸を膨らませながら、ページをめくりました!
この絵本は、少年が大きな魚を捕まえようと必死に格闘する物語。
何とか捕獲するも、死んだと思った魚を少し水に触れさせると命の息吹が戻り…。魚は結局川に逃げてしまうという、どちらかというとシンプルで単純なお話です。
しかし、ページの1つ1つに、「命」の鼓動が吹き込まれていることを感じずにはいられませんでした。
先にご紹介したように、この絵本は征三さんの幼少期の体験をもとにした作品で、魚との触れ合いがリアルに描かれています。
しかも、その「触れ合い」は私達が想像するような温かく微笑ましいものではなく、「自分の幼少期は、生き物たちとの殺し合いだった。」と征三さん自身が語るほど、生々しいものだったそうです。
しかし、だからこそ生き物に対して愛着が生まれ、魚が逃げた喪失感、悔しさ、せつなさなどが、絵本の中から溢れ出しているのを感じました。
子ども達は、終始黙って最後まで聞いており、そのダイナミックさにあっけにとられていました。それもそうでしょう。都会っ子の我が子には、刺激が強すぎたのかもしれません。
しかし、ここで4歳の息子が「ママ。この男の子、手がめちゃくちゃ大きいね。」と、ポツリと一言…。
確かに!魚を捕まえようとする少年の手は、頭よりも大きく描かれています。生命を捕らえることへの必死さが、極端に大きな手の平からもヒシヒシと伝わってきました。
そして子ども達は、「魚つかまえたい!」、「日曜日、川に行く!」と、口々に言い始めました。「田島作品のリアルさは、子どもにもダイレクトに伝わっているんだ!」と実感することができましたよ。
いかがでしょうか?田島征三さんの絵本は、ページからエネルギーがひしひしと伝わってくるものでした。
もっと田島絵本が読みたい!という人は、是非次でご紹介する「おすすめの田島絵本」を参考にして下さいね。
4、親子で読みたい!おすすめの田島征三絵本10選
それでは、おすすめの田島征三絵本を一挙にご紹介していきます!
(1)田島征三おすすめ絵本1:どべバッタ
- 価格:¥1,540(税込)
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しげみに隠れていたバッタは、捕食者に狙われないか?ビクビクする毎日です…。
そんな生活に嫌気がさしたバッタは、大胆な行動に出ます!一体バッタはどうなってしまうのでしょうか?
差別やコンプレックスを跳ね返す、バッタの凄まじい勢いの大ジャンプ!見る者全てに勇気を与えてくれる内容です。
(2)田島征三おすすめ絵本2:しばてん
- 価格:¥1,430(税込)
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「しばてん」は、田島征三さんが学生時代に制作した処女作!
「しばてん」という河童のような化け物が生まれ変わったと言われている、「太郎」が主人公です。
人間の身勝手さや愚かな部分を描いた作品で、おどろおどろしい絵が子どもの興味をそそります。小学校高学年頃になると、作者の意図を深く汲み取ることもできるでしょう。
(3)田島征三おすすめ絵本3:ふきまんぶく
- 価格:¥1,760(税込)
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主人公の「ふきちゃん」が夜いなくなった…。一体どこに行ってしまったのでしょうか?
夢の中でふきのとうになり、その温かさに惹かれたふきちゃん。
いわゆる面白く明るい絵本ではなく、ちょっと不気味でミステリアスな作品です。
(4)田島征三おすすめ絵本4:ガオ
- 価格:¥990(税込)
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田島征三さん自らが拾った木の実を使った、渾身の力作。
木の実で描かれた動物達は、流石の一言!息をのむようなストーリー展開に、子ども達も夢中になることでしょう。
(5)田島征三おすすめ絵本5:くさむら
- 価格:¥1,650(税込)
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ボールがコロコロ転がって、草むらの中をご案内!美しい色使いと描写に、子どもだけでなく大人も目を奪われます。
ちなみに、伊豆にある「ビストロくさむら」というスペイン料理のお店は、征三さんの息子さんのお店です!
お父様の絵本の中でも、特に「くさむら」がお気に入りだったので、店名を同じにしたそうです。
(6)田島征三おすすめ絵本6:ぼく、おたまじゃくし?
- 価格:¥1,430(税込)
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みんなカエルになったのに、1匹だけずっとオタマジャクシの「ぼく」。
段々とヒゲが生えてきて…。集団の中で、周りとの違いに悩む「ぼく」。
差別や偏見、いじめ、仲間の大切さについて教えてくれる素晴らしい作品です。
(7)田島征三おすすめ絵本7:ふたりはふたご
- 価格:¥1,388(税込)
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双子の兄征彦と弟征三の合作絵本!
二人が子ども時代の、生き物との関わり方を描いた作品です。ケンカをしてもすぐ仲直り。「兄弟っていいなぁ~!」と思わせてくれる絵本です。
二人それぞれ、個性の違う絵にも注目ですよ!
(8)田島征三おすすめ絵本8:かとりせんこう
- 価格:¥990(税込)
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蚊取り線香の煙で蚊が落ちる。あれ?蚊だけじゃなくて、色んなものが落ちて来るぞ!?征三さん独特の発想が本当にユニーク!と思いましたが…実はこのお話、征三さんのお孫さんからアイディアを得たものだそう。そのため、この絵本の印税の半分は、お孫さんに渡しているとか!
(9)田島征三おすすめ絵本9:ヒミツのかいだん
- 価格:¥1,430(税込)
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ミステリアスだけど温かい。新潟県の廃校が舞台になっており、しかも実在した生徒がモデルのお話です。
ヒミツの階段の先に何があるのか!?続きは是非手に取ってお楽しみください。
(10)田島征三おすすめ絵本10:猫は生きている
早乙女勝元(著)、田島征三(絵)
- 価格:¥1,650(税込)
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こちらの絵本は、「戦争」と「平和」について考える悲しい物語です。
東京大空襲に巻き込まれた猫と、その猫を可愛がっていた家族は、どうなってしまうのでしょうか…?
恐ろしくて悲しい物語のため、子どもに読み聞かせるのをためらう人も。でも、それが戦争です。戦争は絶対に起こしてはいけない!ということを、子どもに教えてくれる良本です。
まとめ
田島征三さんの、勇気や感動、そして優しさを表現した絵本は、子ども達の心にダイレクトに届きます。
明るく楽しい絵本はもちろん素敵ですが、読んだ後に考える機会を与えてくれるのが、田島絵本の素晴らしさです!
是非ご家庭の本棚に、田島征三絵本を仲間入りさせてみてはいかがでしょうか?
3歳と6歳の子を持つママライター。子ども達を「食うに困らない人間」に育てるべく、0歳から様々な幼児教育を実践!その効果が出ているかはさて置き…育児と仕事に全力投球中の30代です。夫と家事全般の優先順位が下がる一方なのが悩みの種。