孤食やメタボリック症候群がまだまだ問題視されている近年、幼児の頃からの食育を国が推進しています。
食の大切さや、食に対する感謝の念、食への理解などを幼い頃から覚えることが重要だと考えているからです。
そして、それが将来の食の基盤にあり、国民の健康につながることだと考えられています。
国の推進もあって、保育園にこれらの食育プログラムはしっかりと実行されています。ただし、国は推進しているだけであって、実際に動いてもらうのはそれぞれの保育園です。
この食育ですが、各保育園がどのような形で実行しているのか、そして実行しているとして、食育とはどのようなものなのか気になりますよね。
今回はそこに焦点を当てて、食育がどのようなものなのかをご紹介します。
1、保育園で取り組まれている「食育」について知る
食べる、という行為は、小さいときから老後になるまで人生とともにしていく、生きていく上で基本的な営みです。小さいときに食育が盛んに行われているのはなぜか。
これは、小さいときにはまだ「食事」というものがどういったものなのかわかっておらず、家庭内外で見守りと指導が必要だとされているからです。
誰かのためにご飯を作り、そしてともに食材に感謝して味わうことを幼児期に学ぶことが生涯に渡る「食事」の土台になると言っても過言ではありません。
現代の食についての問題と、国が推進している食育内容について見てみましょう。
(1)近年問題視されている「こ食」について
日本の都会の近代化に伴って平均世帯人数が減少傾向にある今、人間の食の原点である食が、問題視されています。
問題視されているのはお子さんの5つの「こ食」。「こ食」とは、
- 「孤」独な食事…一人で食べる食事
- 「個」々で食事…各々で食べる
- 「固」定の食事…好きなものしか食べない。嫌いなものは食べない。偏食
- 「小」さい食事…食べる量が少ない
- 「粉」を主に食す…パンやパスタなどの粉を使った食事が主食になる
といったことを指します。どれもマイナスに働きそうな要素ばかりですね。
こういった、幼い頃に栄養バランスが偏っている食事を取り続けることや、正しい食の楽しみ方を育むことができなかった子供は情緒不安定やよく怒る子供になってしまうと言われています。
例えば、ジャンクフードの一つであるハンバーグを好んで食べ続けた子供の話はご存知でしょうか。ジャンクフードには身体に良くないと言われている添加物が含まれています。
身体に良くない食事を頻繁に取っているお子さんは、次のような症状が現れると言われています。
参考URL:RocketNews24「キーワードは3歳!ジャンクフードは幼児のIQを下げることが発覚」( http://rocketnews24.com/2011/02/09/ )
- 会話をする機会が減り、発想力や表現力が低下してしまう
- 正しい食の選び方を覚える機会をなくしてしまう
- 添加物を多く摂取してしまうことで脳に障害が起きてしまい、興奮しやすく衝動的な行動を取るようになってしまう
- 問題視されている脂肪酸を多量摂取してしまうことで、癇癪を起こしやすくなってしまう
こういった食品に含まれる添加物などの化学物質の摂取による悪影響は、年齢が若ければ若いほど起こりやすくなってしまうと言われています。
これらの化学物質によって脳に障害が起きてしまうと起こりやすいだけではなく、知能も一定以上低下してしまうことも報告されているようです。怖いですね。
こういったことが起こらないように、幼児の時期に食に関する食育をしっかりと行っていくことが大切です。
(2)保育園の食育についての取り組み
こういった「こ食」が進まないよう、食の大切さを改めて知ってもらえるように国が食育を推進しています。
食育を通じて、子供に期待している育ちの姿として掲げられているのは5つの像。
- お腹がすくリズムのもてる子ども
- 食べたいもの、好きなものが増える子ども
- 一緒に食べたい人がいる子ども
- 食事づくり、準備にかかわる子ども
- 食べものを話題にする子ども
素敵ですね。食育を通じることでこれらの像に近づくことができるように保育園では様々な食育活動が取り組まれています。
ちなみにこれは保育園を想定して作成されたものだそうですが、「食育」に対する基本的な考え方は幼稚園でも変わっていません。
(3)「食育」って、こんなことをします。
掲げている像はわかったけど、実際、食育ってどのようなことをするのでしょうか。ネットや保護者の方の声や体験談などを見てみると、下記のような活動が多く見られています。
- 食事をする前に沢山運動をして、お腹を空かせる事で美味しく食事ができるようにする。またはそれを教える。
- 友達や親、先生と楽しくおしゃべりをしながら食事をみんなでする環境を整える。食事は楽しいことなのだと伝える。
- 絵本や遊びの中に食に関する内容を取り入れ、食べたいものを増やす。
- 上記とは逆に学んだことや遊んだことに関してそれを食に反映させる。
- 「いただきます」「ごちそうさま」や手を合わせることなどの社会のマナーを教えて、作ってくれた人や食への感謝を伝える
- 食材を作ることや、配膳などに関わることによって食に関する興味を持ってもらう。食材を作る大変さや、準備することを学ぶ。
若干抽象的になってしまっていますが、こういった活動が多く見られています。しかし、どれも大切なことですね。
2、お子さんに良い影響を与える食育の取り組み例を写真で見る
保育園によっては、取り組んでいる食育の活動をネットで公開しています。
地域は様々ですが、ここでは実際に食育を行っていて、活動をネット上に公開している園を幾つかピックアップしてきました。
食育がどういったものなのかを実際の写真を交えて確認してみましょう。
(1)東京都羽村市 – 太陽の子保育園
節分の日に鬼を装ったメニューや、誕生日のおやつに手作りケーキ。行事などの特別な日には目で楽しめて食べても美味しい、ご飯が楽しみになるようなこんだてが組まれています。
こちらはパンを作っている写真です。ご飯を作る楽しみや食べ物に対して関心を持てるようにしているようです。
「みんなで楽しく食べるご飯」を大切にしています。食事のマナーもしっかりと指導してみんなで取り組んでいるようです。
他にも、この園は家庭と園の連携を図るために毎日のご飯を掲載している「給食ブログ」を公開しているようです。ここをみて、今日は何を食べたのかを親が確認することができます。
家で話題にすることもできるので、こういった取り組みは安心できますよね。
参考URL:
太陽の子保育園 (http://taiyonoko.sunshine.ed.jp/shokuiku/torikumi/ )
太陽の子保育園 – 給食ブログ( http://taiyonoko.sunshine.ed.jp/info_kyushoku/ )
(2)大阪府寝屋川市 – ねや保育園
こちらの保育園は、地域と密着して食育を推進しているようです。写真は地元の農家と連携して、お米づくりを体験している様子です。
この園では、食育は単に食事面に関することだけでなく、「環境や文化などにも触れることによって様々なことを感じ、考えて生きるための基本的な力を育むこと」も食育の一部だと考えているようです。
食育と造形のコラボレーションです。こちらは上記の田んぼに立てるかかしのようですね。
公式サイトに掲載されていた年間プログラムです。こういった情報がネットに掲載されているとすぐに確認できるので嬉しいですよね。
参考URL:ねや保育園 – (http://kizuna-commu.jp/neya/shokuiku/index.html )
(3)広島県安芸郡 – みどりの森保育園
こちらの保育園は、今まで紹介してきた「ごはんを作る」に加えて、給食室の様子を見ることができるようになっているようです。
食材を切る音や食材の調理されていく匂いを感じてもらうことも大切にしているようです。
自分たちがこれから食べる給食がどのように作られていくのかお子さんたちも興味津々です。
季節を感じることができる、四季のお野菜・果物の栽培も行っているようです。写真はみんなで作ったお芋の焼き芋大会だそうです。
みんなで作ったものを楽しみながら食べるのにうってつけですね。
こちらの園も、各園の献立表も全て確認することができるようになっていました。開けてみると1ヶ月分の献立表や使用している食材がびっしり。
毎日使用している食材が違うところを見ると、本当に考え込まれて作られていることがわかります。
参考URL:みどりの森保育園 – 食育(http://www.midorien-fuchu.jp/midorinomori/food/ )
3、保育園で行われている食育について知る方法
食育を実際に自分のお子さんが行く園で行われているのかどうか、気になりますよね。
保育園で行われているのかどうかを確認するには、
- ネットで確認する
- 電話で問い合わせをする
- 説明会などで実際に園に行った際に伺う
といった方法を取りましょう。得に3つ目が確認しやすいです。
皆さん興味のある園にはどんなところなのか説明会や見学会に行くと思います。
説明会でも見学会でも、食育を行っているところは項目としてきちんと確認することができますし、実際にどんなことをするのかを写真で見せてくれます。
見学会では、実際にお子さんが園で食べるものを紹介してくれます。
近年ではネットで様々な情報を発信している園も少なくありません。しかし、園内の全ての情報を載せきれている可能性も無きにしもあらずなので、実際に赴いて確認するのが一番です。
先輩のママやパパに聞く方法もありますが、先輩たちのお子さんが園を卒業するその次の年から園の方針や計画が変わるということもあります。最後は必ず自分で確認するようにしましょう。
4、家庭と連携して行いたい食育
食育は、園だけでは完結しません。園で学んできたことを、実際におうちでも実践することでお子さんにとって初めて良い習慣付けになります。
園で学んできたことも家で実際に実践されていないと、「これってほんとなの?」なんて疑問に持たれてしまっては意味がありません。
家庭でも同じく、掲げられている「5つの像」を目標に食育を実践してみましょう。
(1)お腹がすくリズムのもてる子ども
決まった時間に食事を取りましょう。
また、早寝早起きを心がけて、3食きちんと摂れるようし、朝食の大切さを伝えます。
(2)食べたいもの、好きなものが増える子ども
保育園で教えてもらった食に関しての話を聞いて、それに基づいた食材を使ってみたりしましょう。
お子さんと一緒に出かけて、食べてみたいもの、食べたいものを一緒に選ぶことも良いかもしれません。
保護者が率先して新しい食材や嫌いな食材を食べて美味しいと言っている姿を見せることでお子さんも真似をしようとします。
(3)一緒に食べたい人がいる子ども
食事を摂るときは、一人にせずに家族みんなで摂ることができるように心がけます。
食事中は会話を楽しみながらご飯を食べて、食事をすることが楽しいことを伝えます。
(4)食事づくり、準備にかかわる子ども
ご飯を作る際には、お子さんにも手伝ってもらいましょう。準備から、配膳、お片付けまでご飯は簡単には出てこないことをしれます。
「保育園でも同じように作られているんだよ」と学べることはたくさんあります。
(5)食べものを話題にする子ども
食の大切さを積極的に伝えましょう。旬の野菜や、その食材がどのようにしてできているのかを伝えるのも良いでしょう。
まとめ
園で実践されている食育は、園だけにとどまらず、様々なところで行うことによってお子さんの中に浸透します。
食とは一生の営み。小さい頃から美味しいご飯をみんなで食べることの大切さや楽しさを覚えて自分の中で習慣づけて、生涯楽しい食事を摂れると良いですね。
趣味は薬膳料理とヨガ。
よく食べよく寝る元気いっぱいの息子(3歳)のママ。
かわいいけれどいつも足にまとわりついてくる甘えん坊の息子の将来が心配。
あと仕事と育児で毎日がいっぱいいっぱい。
きちんと料理や掃除をしたいのに家事の時間が確保できないのが悩み。