生活・ケア・しつけ

今すぐの対処法から普段の予防法まで、10分で読める幼児便秘対策まとめ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

育児をする中で、「子どもの便秘」で悩んでいるという方は少なくありません。「最近、子供の機嫌が悪かったその理由は、便秘だった!」ということも。自分の症状をうまく言葉にできなかったり、つい我慢してしまったりという事のある子どものことだからこそ、早めに気付いて対処してあげたいものですよね。

そこで、こちらの記事では、お子さんが苦しんでいるのは便秘かどうかの判断方法や、ご家庭でできる便秘の改善法、また手強い便秘も相談できる病院などもまとめました。もし、うちの子便秘かも?と思ったら、ぜひ一読ください!

目次

1、そもそも便秘って、どういう状態?

まず、便秘とはどういう状態を指すのでしょうか?期間から見ていきましょう。

(1)2日程度便が出ないのは便秘ではない

小児の便秘に関連する学会から発行されている「こどもの便秘」というパンフレットに、便秘の定義が記されています。

1歳以上の幼児の場合:

週に3回より少なかったり、5日以上でない日が続けば便秘と考えます。毎日でていても、出す時に痛がってないたり、肛門がきれて血がでるような場合も便秘です」「小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しづつ、一日に何回もでている場合も便秘の疑いがあります」

赤ちゃんの場合:

「何日便がでなければ治療が必要な「便秘症」とするかは、専門家にもはっきりといえません。週に1回の便でも元気で問題なさそうな子もいるからです。しかし、ほとんどの赤ちゃんは3日に一回以上の便がでますし、4日以上出ないとおなかがはったり、ぐずったりする子が多いと思われるため、1歳以上の子と同じように、1週間で便の回数が1週間に3回より少ない時に便秘症と考えるのがよいという意見が多いようです」

いずれの場合でも、排便が1週間に3回より少ない場合は便秘を疑ってみましょう。

(2) “便秘”の目安は?

次に、お子さんの便の状態や、普段の様子のチェックポイントです。

① 便の状態

「便」の状態を示す世界的な基準として、「ブリストルスケール」というものがあります。日本でも病院での問診で利用されている基準で、7段階で便の状態を評価するものです。この表に照らし合わせることで、ご家庭でも便秘の判断ができます。

(出典:排泄ケアナビhttp://www.carenavi.jp/jissen/ben_care/shouka/shouka_03.html

お子さんの便を観察してみて、表の1か2に該当するようであれば便秘とされています。3から5が正常な範囲、6と7が下痢に該当します。また、便やおならから悪臭がするのであれば、それは腸内で便の腐敗が進んでいるということなので、便秘の黄信号と考えることもできます。後ほど詳しく説明しますが、食生活の改善などで臭いが軽減されるか、経過を観察してみましょう。

② 子どもの様子

強くいきんでいる様子なのに排便ができない、排便後におしりが切れて血が出ているといった排便時の様子や、普段からお腹が張っていて苦しそうにしている、家具などにつかまったりして我慢している、食欲が明らかに落ちているといった普段の様子の異常などが見て取れた場合、便秘の可能性があります。激しい痛みがある場合や風邪ではないのに嘔吐している場合などは、早目に病院に連れていくようにしましょう。

2、そもそも便秘の原因は何なのか?

ここまでで、便秘というのはどういう状態かを説明しましたが、それでは、何が原因で便秘になってしまうのでしょうか?

(1) 無理なトイレ・トレーニング

幼児の便秘の原因として一番多いのが、実はトイレ・トレーニングです。子どもの心は繊細です。失敗して叱られることを繰り返し経験することで、子どもが萎縮してしまい、うまく排便できなくなっているケースは少なくありません。

「早く覚えさせたい」「失敗させたくない」と焦ってしまいますが、そうなると逆効果。その気持ちは子どもに伝わってしまいますので、「いつかできるようになる!」とパパやママも落ち着いて。

(2) ストレス

トイレ・トレーニングとも関係があるのですが、ストレス全般も胃腸に悪い影響を与えます。過度に厳しいしつけや、親の喧嘩などで便秘になってしまうという子どもも居ます。

また、保育園や幼稚園への入園・転園といった環境変化が便秘の原因になることもあります。

(3) 食生活の乱れ

食物繊維不足や、腸内細菌を活性化させるオリゴ糖が不足しているといった理由で便秘になる事があります。

また、離乳食を始めた頃は母乳に比べて水分量の摂取が減り、固形物の消化にも時間がかかるようになるので、便秘になってしまうというケースもあるようです。

(4) 先天性の病気

腸の働きを司る神経節細胞が生まれつきない「ヒルシュスプルング病」といった先天性の病気が便秘の原因だということもあります。ほとんどの場合、病院で診断された後に手術となりますが、治療可能な病気なので大丈夫です。

また、鎖肛という、肛門が生まれつき作られていない、もしくは肛門の位置がずれているといった病気もあります。こちらも同じく、手術によって治療することになります。

(5) 後天性の病気

子どもだけでなく大人にも起きる、巨大結腸症という病気があります。こちらも仕組みとしてはヒルシュスプルング症と同じで、神経節細胞が働かなくなるために、腸が排泄を促す運動を出来なくなり、便秘になってしまうという病気です。原因はたとえば精神疾患(ストレス)や、大腸炎、ウイルス感染などがあります。

見てわかるものではありませんので、もしお子さんが著しく辛い様子であったり、5日以上便秘が続くようであれば、病院に行って診てもらいましょう。

3、便秘にならないためは何をすればいい?

便秘の原因は様々ですが、普段からの心がけで予防もできますし、万が一便秘になっても改善しやすいものです。普段からぜひご家庭で心がけて欲しいことを4項目にわけて紹介します。

(1) 規則的な生活で腸内環境を整える

まずは生活習慣の改善から始めましょう。

① 朝食はしっかり食べ、決まった時間にトイレに座るようにする

子どもが便秘になる原因のひとつに、学校や幼稚園でトイレに行くことに抵抗感を持ってしまうというのがあります。そのぐらいの年頃の子どもは、同級生がトイレに行くのをからかったりするので、それを見た子どもたちがトイレに行きづらくなってしまいます。

この問題の解決法としては、学校でトイレに行く必要を無くすということ。そのために、毎日朝食を食べて、そのあとに自宅でトイレを済ませるようにするという習慣づけが大切です。

人間の体は、朝食をとることで腸が活発に動き出し、排便を促すという仕組みになっています。もしお子さんがあまり朝食を食べたがらなくても、寝起きに常温のお水、バナナ1本、おにぎり一つ、トースト一枚など、少しでも食べさせて、そのあとにトイレに座るようにするという習慣をつけるようにしましょう。

② 夕食は寝る3時間前までに食べるようにする

朝から排便するためには、寝る前の準備も大切です。

ここで重要になるのは、「モチリン」というホルモンです。「モチリン」は、消化管ホルモンの分泌を刺激する、消化酵素を活発に働くようにするといった働きのホルモンで、空腹時に分泌されやすいという特徴があります。寝る3時間前までに夕食を取り、寝る時は身体を空腹状態にすることで、朝に備えて消化を促進することができます。

③ 夜更かしをさせない

朝食をとってトイレに座ることを習慣化するためには、時間の余裕が必要です。そのために大事なのは、早寝早起き。

また、夜更かしをしてしまうと生活のリズムが崩れてしまうので、朝食を食べた後に排便できなくなるといった悪影響もあります。

④ 運動不足にも注意する

赤ちゃんの頃は便が柔らかく、排便も反射によって行われるのですが、子どもの成長に従って排便に筋力が必要となります。腸を動かすのにも筋肉が必要ですし、硬めの便を出すときはお腹に力を入れなければなりません。

できるだけ外で運動して筋肉をつけるようにして、家で遊ぶにしても体を動かす要素のある遊びを取り入れて、足腰や腹筋を鍛えることができるようにしましょう。

(2) 便秘解消に良い食べ物は?

便秘予防には、規則正しい食生活が基本ですが、加えて便秘解消・予防に効果的な食べ物があります。ポイントは、乳酸菌、乳酸菌を増やすのに役立つ乳果オリゴ糖、そして食物繊維を摂ること。

① 納豆

含まれているもの:乳酸菌、乳果オリゴ糖、食物繊維

好き嫌いが分かれそうな食品と思いきや、小さい頃から食べていて大好き!という子が多いと言われている納豆。

幼児の場合、1日あたり(子どもの年齢)+5gの食物繊維を摂取するのが望ましいと言われていますが、納豆は1パックで3gの食物繊維を含んでいます。

パックを買ってきて混ぜるだけ。簡単に1品増やせて便秘はもちろん栄養面でもでバッチリです。

② ヨーグルトとバナナ

含まれているもの:乳酸菌、乳果オリゴ糖、食物繊維

子どもが喜ぶ組み合わせで便秘対策ができます。

ヨーグルトには乳酸菌とオリゴ糖が含まれていて、整腸作用があります。また、バナナ1本には1gの食物繊維が含まれています。

バナナ以外に、りんご、マンゴーなどの組み合わせもおすすめです。

③ 雑穀米や具沢山のお味噌汁

含まれているもの:食物繊維

普段から白米に押し麦を2~3割混ぜるという方法がおすすめです。炊飯器で手軽に作れて、おにぎりにもできます。お茶碗一杯でおよそ2gの食物繊維を摂ることができます。

また、ふだんのお味噌汁も野菜多めの具沢山にして、しっかりと食物繊維を取ると良いですね。

④ オリーブオイル

オリーブオイルは乳酸菌や食物繊維を含んでいるわけではないのですが、子どもの場合はティースプーン1杯ぐらいを摂取すると、含まれるオレイン酸が小腸で吸収しきれずに腸内の滑りを良くするといわれています。離乳食の時期は油はほぼ使わないので、油に慣れていない赤ちゃんは新鮮なオイルを少量から試すといいかもしれません。

イタリアでは子供だけでなく、大人の便秘解消・予防法としても取り入れられています。

4、家庭でできる便秘解消法はどんなものがあるの?

(1) マッサージ

便秘解消のために、まずはマッサージを試してみましょう。

① 「の」の字を書くマッサージ

まず、お子さんを仰向けに寝かせます。次に、そのままひざを曲げるようにして、それから、お臍の周りを時計回りに「の」という字を書くようにマッサージしてあげましょう。「の」の字を描くことで、排便される方向に腸が刺激されます。マッサージは強く押したりせず、あくまでも優しく行いましょう。

② 金魚体操

お尻と足を支えるように持って、下半身をゆっくりと金魚が泳ぐように左右に動かしてあげましょう。この運動により、腸が刺激されます。

(2) トイレにいるときにリラックスさせてあげる

便秘になってしまう子どもは、トイレそのものに悪い感情を抱いている場合があります。

たとえば…

  • なかなかトイレができなくてお母さんに怒られたストレス
  • 排便のときに痛かったのでトラウマになっている
  • トイレが暗い、狭いといった理由でトイレが怖い

…という理由。

これを解消するためには、まず、なかなか排便できなくても怒らず、リラックスできるようにしてあげることを心がけましょう。

また、トレーニング中はトイレを明るくしてあげて、トイレの中に好きなキャラクターのグッズを置く・シールを貼ることも効果的です。

痛みに関しては、食生活を改善し通常の柔らかさの便を排便する経験を繰り返すことで、トラウマも解消されるので大丈夫です。

(3) 浣腸・便秘薬

どうしても便秘が治らずお子さんが苦しんでいる場合は、即効性のある方法もあります。

① 綿棒浣腸

おむつを替えるような姿勢でお子さんを寝かせて、肛門に綿棒を入れて刺激する浣腸です。綿棒にベビーオイルやオリーブオイルを多めに塗って、綿棒の先が隠れるまで、ゆっくりと肛門に入れることで腸が刺激され、排便が促されます。

② イチジク浣腸

最も即効性のある方法は、イチジク浣腸。使用してから10分以内には便が出ます。肛門近くで便が固まってしまっている場合、排便のときに痛みでお子さんが泣くような場合でも効果的です。

イチジク製薬が開設している「赤ちゃん便秘ドットコム」では、赤ちゃん・幼児用の便秘薬について詳しく説明していますので、詳しくはこちらもご覧ください。

③ シャワーを当てる

お尻の穴から便が出ているのが見えるのに、なかなか排便できないときは、肛門の周りにお湯のシャワーを掛けるのが効果的。お尻が温まることで痛みが和らぎ、便が柔らかくなることで排便が楽になります。

洗面器にお湯をためてお尻をつけてあげる方法でも大丈夫です。

④ 便秘薬

子どもが服用できる便秘薬は多くありませんが、おすすめできるのは、病院で処方されるマグネシウム系の下剤です。仕組みとしては便に水分を集めて柔らかくし、排便し易くするものです。

下剤効果のある便秘薬は、無理に腸を動かすことで排便させるため、即効性はありますが腹痛などの副作用がつらい事も。その点、マグネシウム系ですと、比較的即効性はない代わりに腹痛など無しに排便できるので、お子さんにも安心して服用させることができそうです。

(4) なるべく下剤には頼らないほうがいい

下剤などを頻繁に使用してしまうと、子どもの排便する力が育たなくなるおそれがあります。下剤に頼ることが習慣化することのないように、あくまでも病院に行く前の最後の手段と考えて、ふだんは子どもの力で排便できるように心がけましょう。

5、病院に連れていくべきかどうか、判断するタイミングは?

ここまで、家庭でできる治療法を紹介しましたが、以下のような場合は速やかに病院に連れていくべきでしょう。

(1) こんな症状がある場合は早めに病院へ

以下の症状の場合は病院で診察を受けることをおすすめします。
基本的にはかかりつけの小児科で問題ありませんが、全国にある「排便外来」という、便秘で悩むお子さんのための外来もあります。
こちら(https://www.toilet.or.jp/health/)に全国の排便外来のリストがあるので、要チェックです。
緊急性はなさそうだけどなんだか不安…という場合でも、メールや電話で相談に応じてくれる病院があります。

① 週に3回または5日以上排便がない

冒頭に記載したとおり、週に3回または5日以上排便がない場合は、一般的に便秘と考えられます。マッサージや浣腸をしても解消しない場合は、早目に病院に行って、医師の判断を仰ぎましょう。

② 排便したときに痛がる、激しく泣く

排便時に痛そうにしている場合は、便秘の恐れがあります。無理に排便させようとせず、浣腸しても改善しない場合は、自己判断せず病院に連れていくのが良いでしょう。

③ 排便したときに出血がある

排便時の出血は、便秘によるものの可能性があります。傷口が化膿してしまう場合もあるので、速やかに病院に連れていくようにしましょう。

④ 吐き気がある、顔色が悪い

その他の便秘の症状に加えて嘔吐している場合は、体内にたまった便が発酵して、胃腸に菌が侵入している可能性があります。このような場合は、一刻も早く医師の診察を受けましょう。

(2) 病院に行く前にチェックしておきたいこと

病院での治療をスムーズにするために、以下の項目をチェックしておきましょう。
 症状はいつごろからか
 最後の排便はいつだったか
 具体的にどんな症状か
 熱はあるか、食欲はどうか
 前回の便の量や硬さはどうだったか
 腹痛や血便はあったかどうか

6、病院での治療はどんなことをするの?

(1) 浣腸や内服薬により便を出す措置

多くの場合、まずは以下の薬を処方しての治療となります。

① テレミンソフト

子どもでも使える座薬で、直接腸を刺激して排便を助けるものです。早ければ5分、遅くても1時間ぐらいすれば効果があり、即効性のある薬です。

② ラキソベロン

妊婦に処方されることもありますが、子どもの便秘に処方されることも多い薬です。対象からもわかるようにとても安全性が高く刺激の少ない薬です。

刺激が少ない分効果が現れるのも遅く、最大で半日ほど掛かる可能性があります。

③ モニラック

主成分は人工的に作られたラクツロースという糖分で、乳酸菌の一種です。善玉菌を増やして腸内環境を整えるとともに、腸内に水分を集めて、固くなった便を柔らかくする薬です。

こちらも安全性が高く、甘いシロップなのでお子さんも抵抗なく飲むことができます。

およそ半日ほどで効果があらわれるとされています。

(2) 腸洗浄や麻酔をかけての取り出し

もし、浣腸や薬での治療が難しそうな場合は、もっと直接的な方法として、腸を洗う、指で便をくだいて出すという方法が採られます。あまりにも便が固い場合や大量である場合は麻酔をかけて出すことになります。

どちらにしても子どもにとっては辛い治療ですし、麻酔のリスクもあります。

便を貯めなければここまでの治療になることはありませんので、便秘かな?と思ったらあまり放置せず、速やかに病院に連れていったほうが良いでしょう。

(3) 維持治療

便秘そのものの治療というよりも、再発防止のための治療です。生活習慣、排便習慣の改善について、医師から指導を受けます。

すぐに効果が出るものではありませんが、便秘治療以外も含めて健康になるためのステップですので、積極的に実践するようにしましょう。

(4) 病気が原因の場合は手術になることも

巨大結腸症のように重症で、薬による治療が効かない場合には手術を考える場合がありますが、日本ではこどもの機能性便秘に手術を行った実績が充分にある施設はごくわずかに限られますから、必ず専門家の意見を聞いたうえで判断してください。

7、まとめ

幼児の便秘に関する今回の記事、いかがだったでしょうか。

一般的な便秘に関する情報をまとめましたが、子供は自分の症状や辛さをうまく伝えられない分、大人がきちんと判断してあげたいものですね。

不安がある場合は、お近くの病院に相談してみることをおすすめします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

PAGE TOP