「叱らない育児」「ほめて伸ばす」という教育が、世間に浸透しつつある今。ほめる育児を実践している人も随分多くなりました。
しかし、あなたは自分が実践している「ほめ方」に自信がありますか?
子どもをほめているのに、イマイチその効果が実感できないという人は、もしかすると「ほめ方」が間違っているかもしれません!
そこで今回は、「正しいほめ方」に大注目!しかも、参考にしたのは幼児期からの子どもの能力の伸ばし方に定評のある、教育専門家「小川大介氏」のメソッドです。
小川氏の長年の経験により培われた「正しいほめ方」をマスターし、お子様の能力をぐんぐん伸ばしてあげましょう!
目次
1、ほめることの大切さ
(1)現代社会で生き抜くには「自信」が必要
この数十年、日本社会は大きな変貌を遂げました。
目の前のタスクをコツコツこなせば「人生の波」にのることができ、定年まで順風満帆に暮らせる時代はもう終わり!「みんなが横一列」という考えでは、生き残れない時代が訪れたのです。
現代社会では、「これさえやっていれば安心」という確かなものは何もなし。個々が自分で考え、選択し、人生を切り開いていく必要があるのです。
これからの人生、子ども達は数々の場面で自らを信じ、取捨選択する時が訪れます。そんな時「みんなと同じでいいや…。」ではなく、「私はこうだ!」と胸を張って言うには確固たる自信が不可欠なのです。
このような確固たる自信を育むには、時代に合わせて子育ての仕方を変えなければいけません!
自分達が子どもの時には、親には叱られるのが当たり前!ほめられた記憶はあまりない。という人もいるでしょうが、これは「出る杭は打たれる」「横一列」の社会だったからこその育児であり、現代では通用しません。
現代社会では、子どもが自ら人生を切り開くための「自信を育てる教育」が必要なのです。
(2)ほめることで「自信の種」をまくことができる
では、子どもの自信を育てるには、一体どんな教育をすればよいのでしょうか?
もうお気付きだと思いますが、子どもの自信を育てる教育とは、「ほめる」こと以外の何物でもありません!
子どもは「自分はできる!」「優れている!」という気持ちを抱くことで、自信をもちます。一方、どんなに優秀でも「自分はまだまだ…。」と思えば、自信をもつことが難しいのです。
同じことを成し遂げても、自信に繋がる人とそうでない人がいるのは、本人の性格や【幼い時期に周囲にどれほどほめられ、認められたか?】が大きな影響を与えると、小川氏も述べています。
是非お子様を沢山ほめ、「自信の種」をまいてあげましょう。
2、「ほめる」と「甘やかし」は全くの別物!
冒頭でご紹介したように、「ほめて育てる」という教育観が随分と広がりましたが、間違ったほめ方をしているママパパがいるのも事実!
- ほめているつもりなのに、イマイチその効果が分からない
- ほめればほめる程、子どもが図に乗っているような気がする
このような悩みがあるママパパは、自分が実践している「ほめ方」を一度振り返ってみましょう。
- 参観日の授業中にお喋りばかり。でも挙手は積極的にしていたので、そこを沢山ほめてあげる。
- 食事のマナーはできていないけど、ご飯は残さず食べるので良し!としてほめる。
このような例は、間違ったほめ方!子どもの良いところだけを見て他は目をつぶっている、ただの「甘やかし」に過ぎません。
ご紹介した例は極端ですが、ほめなければ!という意識が先行し、やたらにほめ続けるのはよくありません。ほめる育児は、簡単なようで奥が深いのです。
3、これが正解!正しいほめ方とは?
やたらにほめるだけじゃない!小川氏が提唱する、正しいほめ方のポイントを詳しくお伝えしていきます。
(1)ほめる材料をみつける
正しいほめ方をするために第一歩は、「ほめる材料」をみつけること!
子どもが幼稚園や小学校に行っている間、今日は何をほめようか?毎日考えましょう。
例えば、朝「今日は運動会のダンスの練習がある」という話を聞いたなら、帰宅後はそれに関する質問をしてみましょう。「ダンスの練習どうだった?」と言う問いに対し、「難しかったけど全部踊れたよ!」という答えが返ってきたら、そこをほめるのです。
このように、朝一の会話をベースに話を広げると、ほめるポイントは意外に沢山あります!小川氏は、この一連の流れを習慣にすることが大切だと述べています。
(2)「ダメ出し」を「励まし」に変える
あなたは、ほめると同時に「ダメ出し」をしてはいませんか?
「ピアノの練習頑張ったね!でも、リズムとテンポはもう少し練習しないといけないね。」など、ほめた後についダメ出しをしてしまうことはよくありますよね。私も耳が痛いです…。
しかし、これでは「なーんだ。ダメ出しか…。」と子どもの気分は急降下。自信を育むことはできません。
どうしても何か指摘したいときには、「ダメ出し」ではなく「励まし」をイメージするのが効果的!
「ピアノの練習頑張ったね!そしてリズムとテンポに気を付けたら、○○ちゃんの演奏は世界一になりそう!」など、プラスの言いかえをしましょう。
小川氏は、「でも」を「そして」に変えるだけでも、プラスの言いかえになると述べていますよ!
(3)ほめるハードルを下げる
小さい頃は沢山ほめていたのに、小学生になったり妹や弟が生まれたりすると、途端にほめる頻度が減ってしまった経験はありませんか?
「お姉ちゃんだからできて当たり前。」「小学生なんだから、これくらい自分でして当然。」そんな意識が働いてしまいますよね。
このような状況が続くと、めったなことではほめない!そんなママパパになってしまいます。
これを避けるためには、「沢山ほめること」を意識するのが有効。「美味しそうに全部食べてくれたね。うれしいな!」など、毎日のちょっとした行動に着目してほめましょう。
小川氏のおすすめは、「今日は50回ほめる日!」など、トレーニング感覚でほめることです。最近ほめてないかも?と思った時に、チャレンジしてみるとおもしろそうですね。
(4)「叱る」と「ほめる」はセット!
「叱る」と「ほめる」は相反するものだと捉えがちですが、実はそうではありません。我が子を客観的に見て、素晴らしい点はほめる。間違っている点は叱る。ただそれだけの違いなのです。
ただし、やはり叱られた後の子どもはしょんぼり。落ち込んでしまい、時には自信を失いそうになるかもしれません。
そんな時には、「やっぱりママの思った通り。あなたはちゃんとできるじゃない!」など、ほめてあげることを忘れないようにしましょう。
「叱る」と「ほめる」はセット!そうすれば、子どもにメリットがあるのはもちろん、ママパパの「叱ると自信がなくなるかも…。」という不安感も和らぎますよ。
(5)結果ではなくプロセスをほめる
「ピアノのコンクールで優勝なんてすごいじゃない!流石だよ!」「リレーで1位!ママはあなたが誇らしかったよ。」
一見何の問題もないように思えますが、このような「結果」を中心にしたほめ方は、子どもに不安を与えることがあると小川氏は述べています。
「1位」や「優勝」ではなかった時に、「ママは絶対がっかりする…。」「こんな結果じゃ、ママに嫌われるかも…。」という意識を植え付けてしまうのです。
そうならないためには、「結果」ではなく「プロセス」をほめることが大切。
「手が疲れるほど毎日ピアノを弾いた成果が出たね!本当にすごい!」「最後まで諦めずに走った結果だね!〇〇くんがこんなに頑張れるなんて、ママ感動したよ!」
など、結果が出る前の「努力」に着目してほめましょう。
(6)子どもをよく観察する
ご紹介したほめ方を実践するには、お子様をよく観察することが不可欠。毎日子どもに目を向けて観察するからこそ、ほめるポイントを見つけることができるのです。
さらに、子どもを観察することにはもう一つメリットがあります!
子どもを日々客観視することで、その子がもつ性格や思考の「クセ」を見極めることができるのです。
実は、この「クセ」は3つに分けられ、専門用語では「優位感覚」と呼ばれています。優位感覚を見極めることで、その子に合ったほめ方も分かりますよ!
次では、お子様の優位感覚に合うほめ方のポイントをお伝えしていきます。
4、子どもの「優位感覚」に合ったほめ方をしよう!
(1)子どもは3つのタイプに分けられる
人は「視覚・聴覚・身体感覚」の、「3つの感覚タイプ」=「優位感覚」に分けられると言われています。
視覚・聴覚・身体感覚のうち、どの感覚から得た情報に頭や心が反応しやすいのか?人それぞれにクセがあるのです!
小川氏は、この「クセ」に合わせたほめ方&叱り方を提唱。これをマスターすれば、より効果的にお子様本来の能力を伸ばすことが可能です。
(2)タイプ別!ほめ方&叱り方のポイン
それでは、子どもの優位感覚に合わせたほめ方のポイントをみていきましょう。
①視覚タイプ
視覚タイプの子は、どうしても目で物事を捉えがち。そのため、イメージが湧くような言葉でほめてあげるのがポイントです。
叱る際には、何に対して叱っているのか?具体的に見せながら注意するとよいでしょう。例えば、ノートの字が汚いなら、「このノートを見てごらん。この漢字はマスからはみ出ているよ!気を付けようね。」など、できるだけ視覚を使う工夫をしましょう。
②聴覚タイプ
聴覚タイプの子は、言葉を大切にします。「すごい!」「えらい!」など、端的でシンプルな表現は避け、なぜほめているのか?が伝わるように心がけましょう。
叱る時には、過剰な表現を使わないよう気を付ける必要があります。言葉に敏感な分、否定的な表現に傷つきやすい場合があるためです。
③身体感覚タイプ
身体感覚タイプの子は、体全体で物事を感じます。そのため、ほめる時には身振り手振りを交えると効果的。思いきり喜びの表情を浮かべ、気持ちを込めてほめましょう。
叱る時には、クドクド説明するよりビシッ!と叱るのがポイント。叱り終わったらすぐに立て直しを行い、できたことをほめてあげると良いでしょう。
いかがでしたか?自分の子がどのタイプが気になる!という方は、こちらをご覧ください。判定シートで優位感覚をチェックすることができますよ。
5、ほめることが苦手なママパパへ
簡単そうに見えて、意外と奥が深い「ほめる育児」。ママパパの中には、お子様をほめることに苦手意識を感じる人もいるでしょう。
- 何となく子どもをほめるのが苦手
- 子どもをほめることに「わざとらしさ」を感じてしまう
- ほめてはいるが、心の中ではもっと頑張らせないと!と思ってしまう
幼少期にほめられた経験が少ないママパパの中には、このように感じる人もいるようです。
特に、幼少期に厳しく育てられた人にはこの傾向が強く、大人になってからも「これではダメだ。」「もっと頑張らなければ!」と、自分自身を厳しく評価してしまう人も少なくありません。
「子どもをほめるのが苦手…。」そんな気持ちの根底には、もしかするとママパパ自身に「自信のなさ」が潜んでいるかもしれません。
もし、どうしても子どもをほめるのが苦手なら、「ほめる」のではなく「認める」声掛けを実践してみるのがおすすめです!
①お遊戯会の時、大きな声が出せていてすごいと思ったよ!
②お遊戯会の時、大きな声が出せていたね。
いかがでしょうか?①はほめていますが、②は事実を述べ認めているだけです。しかし、子どもにとってはどちらも嬉しい気持ちにさせてくれる声掛けです!
ほめよう!ほめなきゃ!と無理をしてしまい、ママパパが疲れてしまっては本末転倒。褒めることが苦手なママパパは、まずは「認める」ことからスタートしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
小川氏が提唱する、「正しいほめ方」のポイントはお分かり頂けましたか?
ママパパにとって最も大切なことは、「子どもをほめること」と言っても過言ではない!と小川氏も述べています。
是非、正しいほめ方でお子様の自信を育み、健やかな成長をサポートしてあげて下さいね!
※本記事で参考にしたのは、小川氏の著書「親も子もハッピーになる最強の子育て」です。もっと詳しい内容が知りたい!という方は、是非手に取ってご覧ください。
hiromiです!幼少期、言葉の発達に悩んだ息子も今や小学1年生。普通に会話できるように成長しています。子育てが少し落ち着いた今、酵母から手作りするパン作りに夢中!ナチュラルで豊かな暮らしを目指しています。